Snow White
□お隣りさん家は子沢山?
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「っただいま!」
息を切らし、勢いよく玄関のドアを開けた瑠璃華に対し、家の中は薄暗かった
返事は返って来ない
まぁ、瑠璃華は一人暮らしをしているから当たり前なのだが
例え一人暮らしでも「ただいま」を言うことで簡単な防犯対策になったりすることを、ちゃんと瑠璃華は知っている
「はぁ、はぁ……さてと、ちゃんと探さなきゃ」
瑠璃華はガサコソと、部屋に詰まれてある段ボールの中を探った
昨日は、必要最低限の生活用品を出しただけで、並中への転入に備えて、眠ってしまったのだ
「んと……あった!」
瑠璃華がやっこのとこで取り出したのは、高級そうなトマトの詰め合わせ
新鮮でみずみずしい真っ赤なトマトが、いかにも高級そうな箱に仕舞われていた
輸送中に傷めないように、ちゃんと保冷剤もついている
「……なんでトマトなんだろう?イタリアだから?」
そう呟いてトマトの箱を持ち上げると、ひらりとなにかが落ちた
それは、一通の手紙
瑠璃華は少し疑問に思いながら、一緒に挟んであった手紙を見る
そこには、瑠璃華にとって見覚えのあるイタリア語が書き綴ってあった
親愛なる瑠璃華へ
並盛には無事に着いたかな?
そこはとても平和な場所だから、きっと安心して暮らせるよ
この手紙の近くに私が送った『トマトの詰め合わせ』があるだろうから、それをお隣りの家の人達に挨拶に行く時に持っていきなさい
瑠璃華、ちゃんとお隣りの人達と仲良くするんだよ
ティモッテオより
P.S.
並盛に着いたら手紙を書きなさい
そして、瑠璃華自身の選んだ道を後悔しないようにね
「私自身が選んだ道………」
瑠璃華は静かに手紙を読み、イタリア語で書かれたその手紙をじっと見つめる
そして、目尻を下げて哀しく笑いながら…瑠璃華はポツリと呟いた
「…ティモッテオさん、私…後悔なんてしていませんよ」
そうだ、忘れてた
私が…日本に来たのは……
「自分の記憶を知らない方が、よっぽど後悔しますよ………」
「…母さん、こんなに買い物してどうするんだよ」
さっき帰ってきてクタクタになっているツナは、台所でルンルン気分になっている奈々にたずねる
今のテーブルの上には奈々がこしらえた、まさに溢れそうな数のご馳走が並んでいた
「あら、ツッ君が食べればいいじゃない?だってツッ君は食べ盛りでしょ?」
「さすがに食べ切れないよ!それとその呼び方はやめてって!恥ずかしいだろ!?」
「まぁ!呼び方くらい何でもいいじゃない!ねぇビアンキちゃん」
「そうねママン、別に呼び方なんてどーでもいいわ。本当、ツナは小さい男ね。…心も身長も」
「今小さく身長って言ったよな!?ソコ気にしてるのに言うなよ!」
「そういえばそーねぇ。獄寺君や山本君と比べると…ちょっとね」
「ちょっ、母さんこっち見ないでよ!獄寺君と山本は特別なの!」
「ツナ、背が低いのを気にしてるなら尚更よ。ママンの料理を食べ切れば、きっと背が高くなるわ」
「限度があるって!!てか、なんでもそこに結び付けんなっ!」