Snow White

□お隣りさん家は子沢山?
4ページ/5ページ








「…あれ?いないのかな?」




でも、明かりついてるよね…?と瑠璃華は思った


今、瑠璃華がいるのは、瑠璃華の隣りにある一軒家

瑠璃華は挨拶しに来たのだ






「…確か、リボーン君ってここの家の子なんだよね」



瑠璃華はさっき出会った、いろんな意味で衝撃だった、あの赤ん坊を思い出す



…すごい子だったなぁ

普通に言葉話してたし…







ガチャ


「!」




ドアが、動いた

ゆっくりと開くドアに、瑠璃華はごくり…と唾をのんだ


さっきの手紙を思い出す





「(こ、ここで失敗したらダメ!)こ、こんにちは!今日、あなたのお家のお隣に引っ越して来ました天草瑠璃華といいます!も、もしお手数ではなければ、これを受け取ってください!」



瑠璃華は早口で噛まずに喋り、ペコッと綺麗にお辞儀をしながら、素早くトマトの入った詰め合わせを差し出した

お辞儀を決めた瞬間、瑠璃華は心の中でどうだ!と、思ったが…





「……だぁれ?」


「……へ?」




聞こえたのは大人の声じゃなく、可愛いらしい子供の声


瑠璃華はよく見てみると…




「………あり?」



目の前にいたのは、子供。

モジャモジャの髪(角?みたいなものがあるけど…)に、大きな翡翠色の瞳、そして牛柄の服を着ている

先程出会ったリボーンとは違う、まるで牛のような子供だった



子供の瞳に瑠璃華が映る




「お前…だぁれ?」


「あ、えぇと……君、ここの家に住んでいる子?」

「そうだよ!ランボさんはここの家に住んでいるんだよ!」

「そうなんだ、ランボ君っていうんだね」



瑠璃華は、ランボに目線を合わせるようにしゃがんだ

そして優しく話し出す




「私はね、瑠璃華っていうんだ。今日からランボ君のお隣りの家に引っ越してきたんだよ」

「ひっこし?」

「うん。だからね、ランボ君の家に挨拶しに来たの」




瑠璃華がニコリと笑うと、ランボもふんわり笑顔を見せた

そして、一言





「…瑠璃華は、ランボさんのあいじんにしてやってもいいぞ!」


「あ、愛人…?」

「うん!」



キョトンとする瑠璃華に、ランボは翡翠色の瞳をキラキラさせながら言う




【愛人】
愛する人。もしくは恋人。




すぐに頭の中の辞書をめくり、瑠璃華はちょっと苦笑した

だが相変わらず、ランボの瞳はキラキラしている


ランボ君は"愛人"っていう意味、わかってるのかな…?




「あのね、ランボ君。"愛人"っていうのは自分の好きな人のことを指すんだよ」

「?そーだよ」

「いや、あのね?ランボ君と私はさっき会ったばかりだよね?」

「うん!」

「まだ会ったばかりの人にね、失礼だけど…そんなことを言うのはよくないと思うよ?」

「どーして?」

「どーしてって……」




ランボのキリのないやり取りに、瑠璃華は思わずまた苦笑する





…この子は、将来女の子を騒がすような男の子になるんだろうな。



じっとランボを覗き込み、瑠璃華は思った



…ランボ君の言ってるのは、まだ幼い子供が、「お姉ちゃんをお嫁さんにしてあげる!」と、言ってくれることと同じことで…

ちょっと嬉しいんだけど、きっといつか忘れちゃうんだろうな





「…じゃあ、10年」

「じゅうねん?」

「うん。もしね、10年たっても…ランボ君が私のことを愛人だって思っていてくれたなら、ランボ君の愛人になってあげる」



約束ね?
と瑠璃華が小指を差し出せば、
約束だぞ!
とランボも小さな小指を差し出し
て、しっかりと絡ませた

そして、2人は歌う



「「ゆーびきーりげんまーん、嘘ついたら針千本のーます…指切った!」」



…まさかこの小さな約束が、本当に10年後まで続いているだなんて…この時の瑠璃華は知るよしもなかった






「ランボ君、お客様は?」

「あっママン!」




家の奥から聞こえた声

ランボはその声に反応する。



…ママン?




「ランボ君のお母さん?」

「うん!ママンはねぇ、とってもゴハンがおいしくてねぇ、そんでとっても優しいんだぞ!」

「そうなんだ!」



すごく嬉しそうなランボの反応を見て、瑠璃華はいいお母さんだなって思った


…でも、この声ってどこかで聞いたことがあったような…?





「ちょっと待ってて!ママン呼んでくるんだもんね!」





 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ