Snow White
□10年越しの淡い約束
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「…10年前の貴女には、昔のオレがずいぶんお世話になりましたね」
「昔の…オレ?本当にランボ君…なの?」
「えぇ。オレは正真正銘、本物のランボですよ、若き瑠璃華さん」
大人ランボはニコリと笑う
一方、瑠璃華はのんきに「(ランボ君…大きくなったんだなぁ…)」と思っていた
…もっと他に思うことはないのだろうか?
大人ランボの話は続く
「…貴女は、昔泣き虫だったオレに、とても優しく接してくれて、一緒に遊んでくれたりしました。オレは、とても嬉しかった…
…瑠璃華さん、オレはまだ、あの約束を覚えていますよ」
「約束…?」
大人のランボ君と、約束なんてしたっけ…?
うーん…と必死に思い出している瑠璃華に、大人ランボは柔らかく微笑んだ
「…いいですよ。無理に思い出さなくても」
「え?でも…」
「自分の力で、叶えることにしましたから」
ギュッと、瑠璃華の両手を握る力が強くなった。
ザシュッ
突然、何かが遮った。
大人ランボの、男にしては白い頬から、一筋の血が流れ出す
「「…え?」」
大人ランボと瑠璃華の声が、同時にハモった
そして聞こえたのは、まるで般若を思わせるような、誰かの声
「……生きていたのね、ロメオ」
「ビアンキ!」
「ビアンキさんっ?」
ツナが慌てて叫ぶ
瑠璃華が声の聞こえた方向を見ると、台所の出入口に、怒りに燃えたビアンキの姿が見えた
後ろに炎が見える…気がする
ブジョワァァァァ…
「へ?」
ちょうど後ろの壁から、何かが溶けるような音がした
瑠璃華が振り返ってみると…
「…ひぇ!?」
後ろの壁に、毒々しい紫色のパスタが毒々しい煙をあげながら、何本も刺さっていたのだ
どうやらソレが、大人ランボの頬を掠めたらしい
それにはさすがに瑠璃華でも、『ビアンキ』が『壁に刺さっているソレ』を『投げた』ということに気付き、思わず顔を青ざめた
そんな中、優雅にエスプレッソを飲んでいたリボーンが平然と言う
「瑠璃華、それがさっき説明しそこねた、ビアンキのポイズンクッキングだ」
「今説明することなの!?」
…ごめん沢田君。今なら、沢田君の気持ちがわかる気がするよ
「ひぃっ…!」
「覚悟、ロメオォ!!」
ビアンキが、両手いっぱいに料理を持ちながら、大人ランボに向かって走り出す
そんな般若のようなビアンキを見た瞬間、大人ランボは悲鳴をあげながら、玄関から外へと逃げ出して行った
大人ランボとビアンキが外へ出て行った直後、瑠璃華はぺたっと、その場に座り込んだ
「…何が、どうなってるの?」
「ハ、ハハハ…」
ツナの空笑いしか聞こえない
リボーンはニヤリと笑った