Snow White

□ふんわり天使と極限男
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「…お兄ちゃん、昨日に"極限にロードワークに行ってくるぞ!"って言って、戻って来なくて…」

「…きょくげん?」

「あ、お兄ちゃんの口癖なの」



"極限"




何か聞き覚えのある単語だ
しかもごく最近に





「(………あ)」




朝に出会った、あのフードを被った人。たしか、言葉の中に"極限"って…





「ねぇ…その人ってもしかして、フード被ってて、鼻に絆創膏貼ってた?」



瑠璃華がそう言うと、京子は一気に顔を輝かす




「きっとお兄ちゃんだ!瑠璃華ちゃん、お兄ちゃんに会ったの!?」

「えぇ!?瑠璃華ちゃん、京子ちゃんのお兄さんに会ったの!?」

「あ、朝にロードワークしてたところを見たんだけど…」



京子とツナに迫られ、瑠璃華が少したじたじになった、その時…





「おお!京子ではないか!!」




突然聞こえた声。
その大きくて豪快な声には、瑠璃華は聞き覚えがあった

みんなが振り返ると…




「お兄ちゃんっ!!」


「?どうした京子」



そこには…朝出会ったフード姿ではなく、並中の制服を着た了平が立っていた





「お兄ちゃん!どこ行ってたの!?心配したんだよ!?」



泣きそうな表情で京子が聞くと、了平はポカンとした表情で言う




「極限にロードワークをしてたんだが?」

「うそ!そんなに時間かからないでしょ!?」

「そんなに時間がかかるロードワークだったんだっ!」

「「((どんな言い訳!!?))」」



心の中で、ツナと瑠璃華は了平に同時に突っ込んだ






「でも、よかった…お兄ちゃんが無事で……」

「お、おい!泣くな京子!」

「だって…」


「京子ちゃん…」




瑠璃華は安堵の声を漏らす

ちょっと場違いなのかもしれないけど、なんて感動的なシーンなんだろう
…もしかして、これが"キョウダイアイ"というものなんですね!そうなんですねティモッテオさん!





「…ぬ!お前は!今朝出会った、あの親切な女子ではないか!」

「…へ?」



…いきなり、話の矛先がこっちに向けられた

いきなりのことで困惑する瑠璃華をよそに、了平は構わず話を続ける





「今朝は極限に世話になったな!親切な女子!」

「(親切な女子……もしかして私の名前のことなの?)あ、あの…もういいですよ?過ぎたことなんですし…」

「そうはいかん!オレが納得できんのだ!!」



ガオオオォッ!!!とバックに炎が見える…気がした





「あの、瑠璃華ちゃん…世話になったって?」



ツナが瑠璃華に尋ねる
瑠璃華は今朝、倒れた了平を介抱したことをツナに教えた

…瑠璃華自身は、そんなたいしたことをしたつもりはなかったのだが




「そーか!お前が昨日並中に来たという、転入生だな!」

「え…?」



なんで私のことを?

そう思っている瑠璃華をよそに、了平は話を続ける




「京子から聞いているぞ!クラスに仲良くなれそうな転入生が来たとな!」

「お兄ちゃんっ!恥ずかしいからそんなこと言わないでよ!」

「何を言うのだ京子!友達が増えることはいいことではないか!」

「だからって今話すことじゃないでしょ!」





顔を赤らめながら兄を止めようとする京子に、瑠璃華は照れ臭い気持ちになった



…何だか、嬉しいな。





 
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