Snow White

□ドキドキ体育祭!(前編)
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「"極限必勝!!!"」



そう講義室で叫ぶのは、教壇に立っている了平だった

ただ今了平率いるA組は、明日に迫った体育祭のため、作戦会議をしているのだ




「これが、明日の体育祭での我々A組のスローガンだ!!勝たなければ意味はない!!」



そう言った了平に応えるように、周りにいる生徒が、オオッといきり立つ。その叫び声に、瑠璃華は思わず圧倒された



「…了平さんってすごい…!」

「う、うん……お兄さん、今日も熱いな〜……」



そう言い、ツナは横にいる京子をそーっと見る。つられて、瑠璃華も近くにいる京子を見た


…どこと無く、ハラハラしているような気がした



「京子ちゃん、大丈夫?」

「瑠璃華ちゃん……うん、大丈夫だよ?ただね、お兄ちゃんが変なこと言わないかなって、ちょっと心配で……」

「…そうなんだ」



「うぜーっスよね、あの芝生頭」

「んなっ!」



瑠璃華が京子の苦労がわかったような気がしてると、近くで獄寺が愚痴り、それにツナがツッコんだ

元々、獄寺と了平の相性は物凄く悪いのだ




「まーまー獄寺」

「フツーにしゃべれっての」

「(ちょっ、獄寺君!京子ちゃんに聞こえちゃうよ!!)」

「(…沢田君大変だなぁ)」



幸いにも、この獄寺の愚痴とツナのツッコミは、京子には聞こえていなかったようだ





「今年も組の勝敗をにぎるのは、やはり棒倒しだ」



先程の雰囲気と打って変わって、了平が静かに言う

自然と空気がピリッと感じた




「例年、組の代表を棒倒しの総大将にするならわしだ。つまりオレがやるべきだ………だが、オレは総大将を辞退する!!」

「「「「!!!?」」」」

「え゙!?」



了平の突然の辞退発言に、そこにいた生徒全員が驚愕する

…いや、元々興味がない獄寺と、昨日転入してきたばかりの瑠璃華だけ、ぽかんとしていた



そして了平は、バックに炎を浮かべるオーラを出しながら、ただ、こう言うのだった




「オレは大将であるより、兵士として戦いたいんだー!!!」



「……それって、」



((((単なるわがままだー!!!!))))



ピリッとした雰囲気から、ガガーン…と、あきれた雰囲気がその場に沈み返った





「(も〜お兄ちゃんったら…!)」

「了平さん…」




京子は恥ずかしさで顔を赤くし、瑠璃華は思わず苦笑した。どうリアクションしたらいいか、わからなかったのだ


そんな時、場が軽く白けてさせてしまった本人の了平は、自信満々にこう言う



「だが心配はいらんぞ、何故ならオレより総大将にふさわしい男を用意してある!」




了平のその言葉に、生徒が一斉にざわめき始めた

笹川了平以上に、総大将にふさわしい男なんているのか?みんな、その思いでいっぱいだった


そして、了平は指を指す




「その総大将になる男は…1のA沢田ツナだ!!」


「へ?」

「「「「なっ!?」」」」




刺された先には、ぽかんとしてる茶髪。まさか自分が指されるとは思わなかった……ツナだった

思わず、瑠璃華もぽかんとする




「…沢田君が?」

「おおっ」

「10代目のすごさをわかってんじゃねーか芝生頭!」

「は?えっ…なんで!?」



獄寺と山本が興奮する中、ツナは1人パニクっていた


ちょ、なんで!?一体なんでオレが総大将なんですかお兄さんっ!?




「賛成の者は手をあげてくれ!過半数の挙手で決定とする!!」




了平が素早く手をあげるが、他の人は手をあげようとしなかった

誰も、1年生のツナを、総大将にしようなんて思わないからだ




「1年にゃムリだろ…」

「オレ反対〜」

「負けたくないもんねぇ」

「つーか冗談だろ?」



「ホッ…だよね」



その声を聞いて、ツナは安心したような顔を見せる

だが、了平はくわっと顔を強張らせ、大声で言った




「手をあげんか!!!」



((((命令だー!!!))))


「(…了平さん…それってかなり無理矢理なんじゃ……)」



瑠璃華がそう思っていると、ダンッと何か音がした

その音のした方向を見てみると、獄寺が講義室にあった机を踏み、みんなを睨みつけていた




「ウチのクラスに反対の奴なんていねーよな…?」


「獄寺君!?」

「おいっ獄寺!」



そういいつつ、山本も手をあげていた
…おあいこさまだよね。山本君


ギロッと、獄寺が睨めば男子は恐怖で、女子はファン精神?で手をあげた




「うむ!この勢いなら、いずれは過半数になるだろう」



頷く了平

そしてまた、ツナを指差して、声高らかに叫んだ




「決定!!!棒倒し大将は1のAの沢田ツナだ!!」


(((この人メチャクチャだー!!)))


「了平さん…」



瑠璃華はただ、苦笑するしかなかった





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