Snow White

□お手紙パニック!
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歩き始めて10分後…

「ここ初めて来たなぁ」



歩き始めて20分後…

「人気が少ないような…」




歩き始めて30分後…

「…住宅街じゃないよね」






歩き始めて1時間後……


「……ここ、どこ…?」




さすがに瑠璃華は立ち止まった




…ティモッテオさん、一体どうしてなんででしょうか?
私は郵便局に向かっていたはずなのに。今、私は郵便局じゃなくて薄暗い路地裏にいるんです


…これって





「まい、ご……?」




【迷子】
はぐれた、または道に迷って家に帰れない子供のこと。また、その様子のたとえ。





瑠璃華は頭の辞書をめくりあげ、事の重大さに気づいた




「私…迷子になっちゃった!?」



どうしよう!
帰れなくなっちゃったよ!




「あ、来た道を戻れば…」



くるりと振り返ってみるが、路地裏は意外と入り組んでいて、一体どこから来たのかわからなかった

つまり、



「戻れ…ない」




呆然とした瑠璃華は思わず、その場でぺたりと腰を落とした

やけに地面が冷たい



…どうしよう
戻れなく、なっちゃった





「…ヘンデルとグレーテルみたいに白い石とか、パンくずとか落とせばよかった……」



……ボケてなどいない。

本人は至って大真面目である






「どうしよう……」



瑠璃色の瞳で灰色の地面を見る…あぁ、なんて味気無い灰色なの

私は、帰りたいのに。



…なんか涙が出てきそうだ








「…あ、あの………」




一瞬、気のせいだと思った
でもたしかに、声がした




「……?」



不思議そうに瑠璃華がゆっくり振り返ると、そこには、眼鏡をかけた1人の少年が立っていた






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