Snow White

□朝と野菜と殺され屋
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「朝からいっぱい買ったなぁ…」



両手いっぱいの荷物を持って、瑠璃華は家への帰り道を歩いていた




そのことの始まりは、昨日出会った奈々の一言だった






『ねぇ瑠璃華ちゃん、明日の7時にちょっと遠いけど、朝市があるのよ。一緒に行かないかしら?』



お野菜がすっごく安いのよ!とも言われ、並盛をよく知る機会だと思い、瑠璃華はその誘いに快く了承した

そしてその朝市に行ったあと、奈々は他に寄る所があるらしく、瑠璃華は先に、帰り道を歩いていたのだ





「奈々さんの言ってた通り、お野菜安かったなぁ…今日の朝ごはんは野菜炒めにしようかな」



そう瑠璃華が朝ごはんの献立を考えながら歩いていると、瑠璃華の家が見えてきた。その隣にはツナの家が見える

そしてツナの家から、誰かが出て来るのが見えた




「(あれ?あの人は…)」



…向こうも、瑠璃華がいることに気づいたようで、大きく手を振った




「お〜い!瑠璃華ちゃ〜ん!!」

「シャマルさん!」



ツナの家から出て来たのは紛れも無く、女好きでマフィア界では有名な闇医者…Dr.シャマルだった



「お久しぶりですシャマルさん!…でもどうして、シャマルさんが沢田君の家に?」

「いや〜、リボーンにちょいと用事を頼まれちゃってね」

「リボーン君に?」



リボーン君って、シャマルさんとも知り合いなんだ

…リボーン君ってすごいなぁ





「ところで、瑠璃華ちゃんは何してんだ?…ん?なんだこの荷物」

「あ、これは野菜で……私、朝市に行ってきた帰りなんです」


ほら、と袋の中にあるたくさんの野菜をシャマルに見せる




「沢田君のお母さんに誘われて行ったんです。お野菜、すごく安かったんですよ!」



うきうきしながら話す瑠璃華を見て、シャマルは軽く笑う



「そっか〜。じゃ、こっちのことは知らないんだ」

「…こっちのこと?」



なにかあったのだろうか

瑠璃華が不思議に思っていると、シャマルがなぜか不意に、瑠璃華の両肩を掴んできた。抱えていた野菜の入った袋が下へと落ちる




「シャ、シャマルさん?」

「ねぇ瑠璃華ちゃん、これからおじさんとデート行かない?」

「デ、デートですか?」

「そ。おじさん取っておきのデートスポット知ってるからさ〜」

「はぁ……(…そういえばシャマルさん、こんな人だったなぁ)」




それは、まだ瑠璃華がまだ記憶をなくして間もないころ…
シャマルは「気分転換に」という名目で、瑠璃華をデートに連れまわしていた時期があったのだ

その時は、瑠璃華は純粋に喜んでいたのだが……



両肩に掴まれた手をはがそうとする。だがそこは男女の腕の差か、びくともしなかった



「は、離してくださいよ」

「いいじゃん、瑠璃華ちゃんかわいいんだし」

「なんか話ズレてますよね!?」



そう瑠璃華がツッコんでも、シャマルは離してくれなかった

そこで瑠璃華は気付いた



「シャマルさん……今日は、なんだか変ですよ?」



なにか、慌てている。

瑠璃華は今日のシャマルを見て、そう感じていた
シャマルとはもう1年の付き合いなのだ。どの反応が普通で、どの反応が違うぐらいなら分かる



そんな瑠璃華にシャマルは一瞬顔を曇らせたが、すぐにいつもの表情に戻った



「…なーに言っちゃってんの瑠璃華ちゃんは。おじさんは今日も絶好調だぜ?」

「…うそ、ですよね」


「嘘じゃ……ッ伏せろ!」

「わぁっ!?」



突然瑠璃華はシャマルに押され、思わず尻餅をついた


刹那、音が響いた




バキッ!




「ぶほっ!!」




何かの強打音が聞こえたあと、シャマルの悲鳴が聞こえた

瑠璃華は尻餅をついた拍子に、目をつぶった




「……?」



いきなりのことで混乱している瑠璃華は、恐る恐る目を開けた

するとそこにいたのは、見覚えのある人





「ウチの生徒に何してんの?」


「雲雀さん!」



漆黒の学ランをたなびかせ、トンファーを構えている雲雀の姿

その先には、雲雀のトンファーで吹っ飛ばされたであろう、倒れているシャマルの姿がいた





 

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