Snow White

□朝と野菜と殺され屋
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「…貴方は確か、並中の養護教諭だよね」

「おーおー怖いねぇ。誰かと思いきや並中の風紀委員長ときたか」

「シャマルさん!」



雲雀に吹っ飛ばされたシャマルが頭をかきながら、むくりと起き上がった

その顔は苦笑している




「…分かってる?さっきのはわざと手加減したんだよ。貴方、さっき天草瑠璃華に何してたの?
…答え次第じゃ咬み殺すよ」



吹っ飛ばされたシャマルに近づいて、トンファーをシャマルの顎にクイッとかけた

そんな光景に瑠璃華が慌てる



「ひっ、雲雀さんっ!や、やめて
ください!!」

「君は黙っていなよ」


「(…どーもまいったねこりゃ)」



シャマルは心の中で苦笑した

雲雀の殺気のこもった視線が、今シャマルに向けられている




「(このボーズ、目がマジだよ…ったく、相変わらず瑠璃華ちゃんはモテるねぇ…)
あんなのただの冗談だっての、ジョーダンジョーダン!」

「冗談でも肩は掴みませんよね!?…でも大丈夫ですか?」


シャマルに無理矢理(?)デートに誘われながらも、吹っ飛ばされたシャマルの心配をする瑠璃華に、雲雀は少しムッとなる




「…貴方、早く消えなよ」

「へいへい…おじさんはさっさと消えるっての。瑠璃華ちゃーん、まったねーっ!」

「あ、はい…」



…吹っ飛ばされたにしてはやけに元気なシャマルは、余計な目に関わりたくないというような感じでこの場を去っていった

シャマルがいなくなり、静まり返ったところで、不機嫌な雲雀が瑠璃華に向き直る



「………君、なんでここにいるの」

「あ…えっと、私の家がここなんです…」



そう言い、ツナの家の隣の家を指で指すと、雲雀は小さくため息をついた




「(よりによって…隣が草食動物の家なんてね…)」

「…あの、雲雀さん。さっきはありがとうございました……」



ペコリと頭を下げる瑠璃華に、雲雀はコツコツとローファーを鳴らして近づく

そして瑠璃華の前で立ち止まり、じっと瑠璃華を見る




「?…あの、雲雀さん?」

「君、無用心すぎるんじゃない?」




ぶようじん。




「…へ?」

「もっと警戒しなよ、またあんなのに襲われたいの?」

「…あんなのって、シャマルさんのことですか?」

「ほかに何があるの」



トンファーをしまい、雲雀は瑠璃華を見ながら呆れるように言う

…本当、鈍い子だね。




「今度から気をつけなよ」

「…はい、すみません」



頭を下げてシュンと落ち込む瑠璃華に、雲雀は先程の不機嫌がなくなった気がした





「…そういえば、どうして雲雀さんがここにいるんですか?」

「赤ん坊に頼まれたんだよ。貸しを作りに来ないかって」

「赤ん坊?」



…きっとリボーン君のことかな





「赤ん坊が言うには、急ぎの用事らしいからバイクで来たら…
君があの養護教諭に襲われかけていたんだよ」

「…バイクですか?(…あ、あそこに置いてある)」



瑠璃華が目をこらすと、奥に黒いバイクが見えた。きっと、あれが雲雀のバイクなのだろう




「…でもバイクって、免許持ってないと乗れないんじゃ…?」

「校長から許可はもらってるよ。僕は風紀委員長だからね」

「はぁ…」



…なんか、沢田君の言ったことがわかったような気がした

雲雀さんって、変わってる。






「…赤ん坊はあの部屋か」

「あっ…」



雲雀が2階にあるツナの部屋を見たかと思うと、塀に足をかけてよじ登り、そして空いていた窓から部屋の中に入っていった



「わぁ……」



その見事な軽業に、瑠璃華はただその様子を呆然と見ていた

やがて部屋の中から、いくつか声が聞こえるが、よく聞き取れない





「(リボーン君…雲雀さんに用事ってなんだろう?)」



そんなことを思っていると、瑠璃華はあることに気づく





「…お野菜、落としたままだった…早く拾わなきゃ」





 

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