Snow White

□勘違いバースデー
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『お手々つないでろよー?』


『うんっ』





がやがやと賑わう人混みの中で、2人の人影は手を繋ぐ



1人はまだ幼い少女
もう1人は背の高い男性



思いのほか、その男性の握る力が強かった





『おとーさん、お手々痛いよー』

『そっかー?ごめんなー』




そう言い、頭をポンポン撫でるとそれだけで少女はご機嫌になる






『ねぇ、なんで―――――…』






え?






『…――――よ。だって―――』





何?


聞こえないよ




なんて言ってるの―――













そこで、目が覚めた。





「………っ」



瑠璃華はゆっくりと、ベッドから起き上がった

小さく頭を抱える





「(……今、のは…?)」




今日も、覚えてる

どこかの町?みたいなところで、小さい私と誰かが、ギュッと手を繋いでた夢



…ちょっとぼやけてて、はっきりとは見えなかったし、ところどころで言ってる言葉がわからなかったけど…

私は、その人のことを「おとーさん」って呼んでた





「あの人が、お父さんなの…?」





お父さんとお母さん

私が小さい時に死んでしまった、私の両親




…本当は顔もわからない

記憶喪失で忘れたのもあるけど、両親が写真嫌いだったらしくて…写真がひとつも残ってなかった

だから、わからない




でも、なんで?




「う〜ん……」



しばらく頭を悩ませるが、くしゃくしゃと頭を掻いた

悩んでても仕方がない!



瑠璃華はすくと立ち上がり、昨日テーブルの上に置いたままのある物を手に取った




「…夢のことは、後で考えよう。なんたって今日は、おめでたい日なんだからっ」




今日は、あの子の誕生日!






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