駄文(歌)
□瞳の奥をのぞかせて
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いつものように吉原に朝が訪れる。
それは月詠も例外ではなかった。
目を覚ますと傍らにある手紙が目にはいった。
昨日地上から届けられたものである。
それを手にとり読んでみる。
「今度行く…か…」
わりと丁寧な字体で一言だけ。
いつからだろうか。
この町で銀髪の侍はいないかと人々を目で追うようになったのは。
会う度心が弾んでいたのは。
会えないと物思いに耽るようになったのは…
「わっちは女など捨てたとばかり思っていたのじゃがの…」
本当は男に惹かれてはならないはず。
だけど惹かれている。
あのやる気なさげだがまっすぐできれいな瞳に。
これほど想っているのに…
「伝わらぬものじゃな。気持ちとは…わっちは銀時の目さえ眩しすぎて見られぬ。なのに…銀時はわっちの心など見透かしておる。」
このような経験のない月詠にとっては未知のことでどうしていいのかもわからない。