*銀魂*

□むくちなひと
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「最後が泣き顔じゃ、胸糞悪いじゃねぇか」

銀時の言葉に、怒りの様に湧いて視界を歪ませる涙を
拭う事もせずに顔を背け、最後じゃねぇんでしょうと
震えて裏返りそうになるのを堪えながら呟き、骨ばった銀時の手を
両手で壊れそうなほど強く握り締めた。
その手の大きさや温度や放射状に走る骨の一つ一つの角度は
沖田の良く知る銀時の手そのものだった。
それは当たり前のことなのだけれど、最後ではない証に
せめて何か残してほしくて強く握った手は、とうとう握り返される事はなく
月明かりのむこうに消えていった。

明日の朝になれば、誰もが彼のいない現実に愕然とするに違いなく
ほんの数時間の事ではあるが、彼のいない現実が他の誰よりも
最も長いのだと思うと無性に可笑しくて、取り残された河原で暫く
腹を抱えて笑った。



END



結局、最後にいなくなるのは銀時なんですよ。(たぶん)

2008/06/18
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