*銀魂*

□にじむあか
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「あーあ。結構出ちゃってるよ、血」

腕に小さく刻まれた傷口から滲む赤を、指の腹で拭い乍ら
沖田君暴れん坊なんだから爪くらいちゃんと切んなさいなどと言う銀時を恨めしく思う。
それは言葉の端々に幼子に聞かせるような柔らかで優しいニュアンスがあるからだ。
けれどそれ自体さほど悪い気はせず、寧ろ甘えてすり寄れば
跳ね返されるような事はないという妙な安心感が心地よくすらあるのだから
自分も大概、チャイナやメガネと代わり映えしないと自嘲気味に笑った。

「ちょっと、沖田君さぁ。笑ってないで手当てくらいしてくんない?
うちマキロンとか買ってる余裕とかないから。全然無いから」

ついでにお茶と甘いお菓子でも出してくれりゃ銀さん嬉しなぁ
それだけでも忘れ物届けに来て怪我した甲斐があるってもんよ。
そういって、まだ了承もしていないのに屯所内に入っていく後姿を
暫く、呆然と眺めていた。
もし、銀時が自分の気持ちに気がついていたとしたら
そんな事を考え乍ら、冷蔵庫の隅にあったはずのあんみつを思い出していた。




END



最初に書こうと思ってた話と違う方向に行ってしまって
最後無理矢理戻したら「あんみつ」が出てきました。

2008/6/27
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