*Short*

□道
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思い出が時間を止めた。

いつもと同じ場所を見ているはずなのに色々な思い出、想いが胸に込み上げてくる。




さっき、卒業式が終わった。
長かったようで短かった高校の3年間。
私は4月からそこそこ有名な大学へ進学する。

そして、君は……
ツナ君は、黒いスーツを着た赤ちゃんが言うには「いたりあんまふぃあで最強のぼんごれふぁみりーのボス」になるんだとか。
だからいつも一緒につるんでた獄寺君とか山本君とかとイタリアに行くらしい。

マフィアとか、ファミリーとか、ボスとか……
きになる言葉がいくつか聞こえたけど、どれも私にはわからない、遠い世界の言葉に聞こえた。


赤ちゃんにそれを聞いた日から何度もツナ君に聞いてみようと思って、やっぱり止めた。
だって聞こうと思ってツナ君に声をかけると決まって彼は悲しそうな顔をするから。
(そんな顔されたら…聞けないよ)



結局卒業式が終わった後まで何も聞けないでお別れをしてしまった。

ふと振り返れば、やっぱりそこには見慣れた景色。
二度と並べない思い出の道がずっと学校まで続いている。



この道で君に出会った。
君のその優しさに出会えたことで私はいつも独りじゃなかった。
誰も消せない心のアルバム、今なら笑えるかもね……




…大好きだよ、ツナ君……



君に伝えたい言葉、心の中で言ってみた。
不意に涙が溢れる。
(やだ……止まってよ)

涙邪魔して空を見上げたら春の音が聞こえた。





ツナ君……3年間、特別な時間をありがとう。
嬉しすぎて、溢れだした涙がとまらないよ…。

さよなら







(この道 未来へ続く)
(忘れないよ)
(離れても 愛しています)







「道」 Song by.EXILE

 

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