*Short*

□人気者の君に妬く
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それは私の友達が肩をたたいたことから始まった。


「ねぇ、さくらは誰かに貰うの??」



『え?』

いきなりのことで彼女の言っている事がわからなかった。


「ボタンだよボタン!第2ボタン!!」

ポカンとしている私を見て彼女は言った。


『第2、ボタン…?』




実をいうと私は帰国子女で、あまり日本文化というものがわからない。
それを察したその子がボタンのことを話してくれた。


「だからね、日本の女の子は好きな男の子の第2ボタンをもらおうとするんだよ!」
『へぇー…』




好きな人。
そう言われて思い浮かぶのはただ1人。

隼人先輩。


彼は私と同じ帰国子女で、何という事か、私と同じマンションの、同じ階に住んでいる。
そんな事もあって、私と先輩はよく話すようになっていた。

先輩は格好いいし、頭いいし、喧嘩強いし……なんだかすごい人で、学校ではファンクラブができるほど人気の男の子。


そんな人にいつしか私は恋をしていた。


(第2ボタン……ほしいかも。)




私は「思い立ったら即行動」タイプの人間なので、
友達に言われたことを理解した瞬間、すぐに隼人先輩を探しに教室を出て行った。


まずは先輩の教室……と思って行ってみればそこはすでに人だかりが…。

よく思い出してみれば隼人先輩のクラスには、隼人先輩と山本先輩という学園のアイドルが2人もいたんだ。


あーやだやだ、先輩もててるからいつもこう。
バレンタインも、ホワイトデーも、行事があってもなくてもいつも先輩の周りには女の子であふれてる。

別に私が先輩の彼女なわけじゃないけど、なんかこういうのっていやな気持になる。
モヤモヤするっていうか……。
(こういうの妬きもちっていうんだっけ。)




ぴょんぴょん跳ねて教室の中を見ればそこにお目当ての彼はいないあった。
となると…

さくらは踵を返して屋上へとつながる階段をのぼっていった。






ギィー…

重たい扉を開けたそこにはやっぱり先輩がいた。

『隼人先輩!!』
「さくら?」


すこし驚いたような顔をして先輩が私を呼ぶ。

『先輩、よくここでサボってるからここかなーって。』

そういえば先輩は「お前も人のこと言えないだろ」と言って笑った。
…まぁ、先輩ほどじゃないけど。



『隼人先輩、第2ボタン、私に下さい!!』


Simple is best!!

他に言い方がわからない私はそう単刀直入に言い放った。



「あぁー…これのことか?」

そう言って先輩は自分の胸元のボタンを指した。


『そう、それそれ!よかったー、先輩人気者だからもうとられちゃったかと思ってました!』
「つーかお前、これのジンクスとか知ってたんだな。」
『はい、さっき友達が教えてくれて…』

と、そこまで言って気が付いた。


第2ボタンって…好きな人に貰うものだったような……



『あー、えーと……///』
「なーに今更赤くなってんだよ、バカかお前は」
『バカって…!!』

くるくると空中で回って来たものを私はなんとかキャッチした。


「それ、欲しいんだろ?だったらやるよ」

そういった先輩のブレザーにはもう第2ボタンがない。


『いいい、いいんですか?…私がもらっても…?』
「嫌だったらやるわけねーだろ
……そのかわり、」

私ほどじゃないけど赤くなった隼人先輩はだんだんと私との距離を詰める。


『は、隼人先輩??』


ちゅっ



一瞬唇に感じた温もり。

「ボタンのお返しはしっかり貰っておくぜ」
『〜〜〜///』











人気者の君に妬く
やっぱり人気者ってずるいです!行動とか行動とか行動とかが!!




 

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