<モノクロ螺旋・黒>
□プロローグ
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この先に未来があると…、真実があると思っていた――
けれど――
現実は鼻にこびりつくような硝煙と血に塗れた残骸しかなかった―――
『…っく!!』
がさりと地面に刀を立てる音がする。
その刀は既に血がこびりついており、その持ち主も幾多の血に濡れていた。
『…ったく、何匹いるんだ』
辺りを見渡せば、異形の姿のものたちが一面を囲んでいる。
数十人なら可愛いものだ。百…いや千はいるかもしれない。
『一人相手に随分と念入りだな。…ま、構わないけど』
地面から刀を抜き、構えをとる。
そう遠くないところに見える影は今にも襲ってきそうに見えた。
『…どうせ、一人でやるのだから』
脚に力をいれ勢いよく地面を蹴る。
風を切るように走り、異形集団の中へと突っ込んでいった―――
大事な人を亡くしたあの日から――
何かを護るには、何かを棄てなければと思っていた―――
まるでそこに埋め合わせるものを探すように―――
死と生の狭間で生きながらえることを滑稽というのか――
それでも俺は―――私は、
『…まだ死ねないんだ』
白と黒の螺旋は回り続ける―――