main3
□花
1ページ/5ページ
「なあトシ、お妙さんってどんな花が好きかなあ?!」
見廻り中に通りかかった花屋の前で近藤が立ち止まり、土方に聞く。
「知るかよ。アンタも懲りねぇな…」
「女なんてどんな花でも貰えりゃあ嬉しいんじゃねーか」
土方は面倒くさそうに答えた。
「近藤さーん、これなんかどうです?」
「お!総悟、いいね!…こっちもどうかなっ?」
「って、スルーかよっっ!!!」
土方は煙草に火をつけて呆れて近藤と沖田を見て溜息をついた。
「いいか、トシ。どんなんでもいいなんてあげる人に失礼じゃないかっ!誠意を込めて選ぶ!!これが気持ちを伝えるって事だ!」
「…ていうか今見廻り中だろーがっ!」
怒る土方に目もくれずに近藤と沖田は花を物色する。
もう知るか、という顔で土方は花屋の隅にもたれかかり目を閉じた。
「あ…!!これ、いい!!この高級感!!」
近藤が手にしたものは
真っ白な胡蝶蘭。
「お客様、お目が高い!!こちらは女性へのプレゼントに最適ですよ!」
店主のおじさんがほくほくとした顔でやって来た。
「よしっ!!これにしようっ!!」
満足そうに近藤は胡蝶蘭を抱えてにこりと笑った。
「ありがとうございます!5万円でございます!」
近藤の笑顔が真顔に変わった。