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□花
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「なあトシ、お妙さんってどんな花が好きかなあ?!」

見廻り中に通りかかった花屋の前で近藤が立ち止まり、土方に聞く。

「知るかよ。アンタも懲りねぇな…」

「女なんてどんな花でも貰えりゃあ嬉しいんじゃねーか」

土方は面倒くさそうに答えた。

「近藤さーん、これなんかどうです?」

「お!総悟、いいね!…こっちもどうかなっ?」

「って、スルーかよっっ!!!」
土方は煙草に火をつけて呆れて近藤と沖田を見て溜息をついた。

「いいか、トシ。どんなんでもいいなんてあげる人に失礼じゃないかっ!誠意を込めて選ぶ!!これが気持ちを伝えるって事だ!」

「…ていうか今見廻り中だろーがっ!」
怒る土方に目もくれずに近藤と沖田は花を物色する。
もう知るか、という顔で土方は花屋の隅にもたれかかり目を閉じた。

「あ…!!これ、いい!!この高級感!!」
近藤が手にしたものは
真っ白な胡蝶蘭。

「お客様、お目が高い!!こちらは女性へのプレゼントに最適ですよ!」
店主のおじさんがほくほくとした顔でやって来た。

「よしっ!!これにしようっ!!」
満足そうに近藤は胡蝶蘭を抱えてにこりと笑った。

「ありがとうございます!5万円でございます!」

近藤の笑顔が真顔に変わった。
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