main3

□回り道
1ページ/2ページ

すまいるでいつもの様に馬鹿騒ぎをし、妙に殴られ、ほろ酔いで近藤は屯所に帰ろうとしていた。

「今日もお妙さん、可愛かったなあ!」

コツンと小さな石を蹴る。

こんなほろ酔いの帰路は何だかとても気持ちが良い。缶コーヒーでも買おうかと財布を見るが、すまいるで全部使いはたしていて缶コーヒーすら買えない事に気が付くと近藤は力なく笑った。


その情けない笑い顔の横から、細く白い手が伸びて自動販売機に小銭が入れられる。

「お…お妙さん??」
びっくりして振り返った近藤に目も合わせずに妙は缶コーヒーのボタンを押した。

「誤解しないで。これ、私が飲むんです」
にこりと妙が微笑んだ。

「は、はい、あの…お疲れ様ですっ」

「ええ、疲れたわ。誰かさんのおかげで」

「はははっ、…すみません…」

辺りは暗く、街灯も頼りない。
妙はその頼りない明かりの中を歩いてゆく。

「あ、あのっ!!送ります!!女性の一人歩きは危険ですからっ!」

「…あなたが1番危険なんですけど」

妙が近藤を睨むと近藤は頭をかいて下を向いた。

「…好きにしたらいいわ」
妙はそう言って近藤の前を歩いて行く。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ