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□HAPPY NEW YEAR
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朝から近藤は気持ちが悪い位浮かれていた。
今までならありとあらゆる手を尽くして妙と正月を過ごそうと画策し、玉砕してきたのに。
結婚してはじめての正月
当たり前だが
一緒に過ごしている。
すべてにおいて当たり前の事が(今までが今までなだけに)近藤にとってはまるで毎日がイベントの様に感じていた。
「明けましておめでとうございますっっ!!」
三つ指をついて居間で挨拶をする近藤に妙は溜息をつく。
「…あなた、仮にもこの家の主なんだから、そんな事しないで下さい」
「いやっ!!近藤勲、俺の生涯でこんな素敵な正月を迎えられるなんてっ!うぐぐっ!」
泣き虫な大男が
また涙ぐみながら目頭をこすって言う。
「こういうのは、妻である私が先にするものです」
妙は呆れながらもにこりと笑って三つ指をついて
「明けましておめでとうございます」
と、涙ぐむ夫に向かい丁寧に頭を下げた。
顔を上げた妙は目の前で号泣しだした近藤を見て、また大きな溜息をついて近藤の頬をつねった。
「屯所に行くのに、そんな顔で行くつもり?局長さん」
「いだだ…おだえざんっ!」
近藤は泣きながらも驚いて妙を見た。
確かに近藤は家族のいない隊士達の多い真撰組の皆が気にかかっていた。
けれど正月から妙を連れて行ってよいものか悩んでいたのだ。