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□女心に桜空
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妙から花見に誘われたのは二度目である。
一年前に誘われた時は
桜をゆっくりと楽しむ間もなく、妙の気持ちがわからぬまま妙に帰られてしまった。
「桜が見たいわ」
すまいるでの妙の一言に
「お、お花見、行きませんかっっ!!?」
酒の力まかせに近藤が叫ぶと
「ええ。明日連れて行って」
さらりと、あまりにもさらりと妙に返事をされ
「…そうですよねえ…やっぱり俺なんかと花見になんか…」
野球デートの時と同じに近藤はあきらめの返事をする。
「またですか。お花見、行きましょうって言ってるんです」
妙は溜息をつきながら呆れた顔で笑った。
「…ぇええええぇっ!!!!!!???」
一気に酔いも醒めて、思わず妙の手を取りいつもの様に殴られた。
そして今
また桜並木を妙と歩いている。
妙の少し後ろを近藤は歩きながら
はらはらと落ちてくる桜の花と妙を見て
「きれいだなあ」
思わず声に出して言ってしまい、振り返った妙に驚いて慌てて下を向いた。
妙は近藤の前に立ち止まると
「近藤さんって、歩くの遅いのね」
「…えっ!?あ、ああ…そうかな?あははっ!」
聞こえてなかった、よかったと思うと同時に
ゆっくり歩いていたいその理由を
見透かされない様にと、大きな口を開けて笑う。