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□空
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空を見上げるのが好きだ
武州にいた青臭い時代を思い出す。
雲ひとつない晴れの日も
泥水が混じった様な雨の日も
横でトシと総悟の喧嘩を聞き流しつつ
この空のどこかに、いつかともに歩くであろう誰かがいるんだ…
その時俺はその人を守れる位の男になっているだろうか
なんて思いながら
いつも空を見上げていた。
そんな昔の事を思いながら河原で寝転がり、大きな雲が流れて行く空を見て
大好きなあのひとを想った。
「何サボってるんですか」
空が
大好きなひとの顔に変わる。
「うああぁっ!お妙さ…!」
みぞおちに、一発。
「ちゃんと仕事してもらわないと困ります。
また道場が廃れてしまうでしょう!」
俺は目一杯謝って
大好きなそのひとは呆れながら笑う。
どこにいても
どんなに年月が経とうとも
変わらないこの空みたいに
このひとを愛おしく想い続ける
ちょっとばかり乱暴で
泣き虫で優しい君を
Fin