main2
□つわりの時はそっとしておいて背中さすらないで
1ページ/5ページ
プルルル…
「あ、トシ?…うん、えっと…今日有休とれないかな?…いや、お妙さんがちょっと…」
近藤が土方に電話をかけている最中、妙が台所で
「おぼろしああぁぁ」
吐いている。
「ちょ…ごめん!またかけ直すわ!」
慌てて電話を切り、妙のもとに駆け寄る。
「…私は大丈夫ですから、お仕事ちゃんと行って下さいな」
真っ青な顔で妙が言う。
「何言ってるんですかっっ!!大変な病気だったらどうするんですっっ!!食あたりとか…食あたり…食中毒とかっっ!」
あたふたする近藤に妙は
にこりと笑顔で
「…食しかないじゃない…それって私の作るご飯が悪いって言いたいの?」
手には包丁である
「ちちち違いますっっ!!吐くって事は食べ物かなあーなんて…ひいい」
後ずさりする夫に背を向けて
妙は自分の胸をさすりながら
「…できたみたい」
と、下を向いて言った。
「そうですか…できたんですね…って何か必殺技!?」
どこまでもにぶい近藤の顔を包丁がかすり、台所の壁に突き刺さる。