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□つわりの時はそっとしておいて背中さすらないで
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プルルル…

「あ、トシ?…うん、えっと…今日有休とれないかな?…いや、お妙さんがちょっと…」

近藤が土方に電話をかけている最中、妙が台所で

「おぼろしああぁぁ」

吐いている。

「ちょ…ごめん!またかけ直すわ!」
慌てて電話を切り、妙のもとに駆け寄る。

「…私は大丈夫ですから、お仕事ちゃんと行って下さいな」
真っ青な顔で妙が言う。

「何言ってるんですかっっ!!大変な病気だったらどうするんですっっ!!食あたりとか…食あたり…食中毒とかっっ!」

あたふたする近藤に妙は
にこりと笑顔で

「…食しかないじゃない…それって私の作るご飯が悪いって言いたいの?」

手には包丁である

「ちちち違いますっっ!!吐くって事は食べ物かなあーなんて…ひいい」

後ずさりする夫に背を向けて

妙は自分の胸をさすりながら


「…できたみたい」

と、下を向いて言った。

「そうですか…できたんですね…って何か必殺技!?」

どこまでもにぶい近藤の顔を包丁がかすり、台所の壁に突き刺さる。
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