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□迷子の迷子のおまわりさん
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「恥ずかしながら…その…道に迷ってしまって…」
「…あなた本当に警察?ストーカーはするわ迷子になるわ…この国も終わってるわね」
呆れて妙が溜息をつく。
「…返す言葉もないです…」
いつもの大型犬が、今日は小犬の様に見えて妙は笑いそうになる。
「大通りまで、よ」
「?…はい?」
「大通りまでしか、案内しません、って言ってるの」
妙はきつい口調で言って歩き出した。
「お妙さん…うううっ!」
隊服の袖でごしごし涙を拭いて近藤が後を追いかける。
「3メーター以内に近寄ったら、殴るから!」
前を歩く妙がぴしゃりと言う。
「は、はいっ!!」
きちんと距離を開けて近藤は妙に着いて行く。
武骨でガサツで、女心のわからない大きな男
なのに
妙は時々この男を可愛いと思ってしまう。勿論、すぐに頭を振ってその思いを打ち消すのだが。
距離を開けて歩く二人を少し早く顔を出した月が
大きな迷子にはわからない様に優しく笑う妙と目を合わせ月もまた優しく二人を照らしていた。
Fin