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□花
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「さすが近藤さん、太っ腹でさぁ」
総悟がにこにこして胡蝶蘭を覗き込む。
「あ、はははっ!まままあ、…お妙さんにふさわしい価格っていうの?そそんな感じで選んだしっ!!」
思わぬ出費に一瞬真顔にはなったが、早く妙の嬉しい顔が見たいと思うとまた近藤に笑顔が戻り出す。
「…ほんと、バカだよアンタ」
土方が横目で呆れた顔で見る。
「あげる人すらいねぇ土方さんに言われたかねーでさぁ。ねえ、近藤さん」
「んだと!総悟!コルァ!!」
二人がまた掴みあいになる。
ふう、と近藤は溜息をついて道路をふと見ると
一人の少女が車の行き交う道路に向かって走り出しているのが見えた。
「危ないっ!!!」
近藤は少女の腕を掴み、引いて自分が車の前に飛び出る形になって、身体を地面に叩きつけ倒れた。
車は間一髪で近藤の前に止まった。
「近藤さんっ!!!」
慌てて土方と沖田が近藤に駆け寄った。
「っ…大丈夫だ…」
近藤は起き上がり、運転手に詫び、目を丸くして固まる少女のところへと行った。
「これ、落ちてたんだけど…君のかな?」
一枚の写真を少女に渡した。