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□女心は桜空
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目を伏せながら下を向く妙。
「…ごめんなさい。帰ります」
そう言ってそのまま近藤に背を向けて歩き出そうとする妙を
後ろから近藤は抱きしめる
「ちょっ…何してるんですか!!殴られたいの?」
いつもなら即パンチか蹴りなのに、この体制で自分よりも大きな男にのしかかられたら身動きが取れない。
「お妙さん…すみません、ありがとうございました…」
そう言うと近藤はすうっと、こわれものを扱うかのように妙を開放する。
妙は近藤を殴るでも蹴るでもなく、そして
振り返る事もなく
走り去って行く。
「…まいったな…」
空笑いをしながら頭をポリポリかいてその後ろ姿をずっと見つめる
30年近く生きてたって
やっぱり女心って難解でわからないな、と思いつつも…
またこんな気まぐれが自分を翻弄してくれないかな
桜の花びらが舞う中で
またポリポリ頭をかきながら近藤もゆっくり歩いて行く。