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□すまいる
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「…いらっしゃいませ、何か久しぶりですねゴリラさん」
笑顔ゼロな妙
その妙とは反対に満面の笑顔な近藤はさっそうと席に座る。
「いやぁ〜!給料出たんで!!なかなか来れなくてすみませんでしたっ!!」
頭をかきながら言う。
「いや別に無理に来いとかいってないですから」
呆れた顔の妙はそれでも今月の店の状態を考えて、いつもの問答無用なボコボコは押さえようと考える。
「何飲みます?ドンペ…」
妙が言いかけたと同時に近藤がボーイに
「ドンペリお願いします」
と注文する。
「…あなたって…ホントに懲りないのね」
心底呆れた顔で妙は近藤を見た。
「また身ぐるみ剥がされて帰る気?」
「あははは…まぁ、剥がされたら裸で帰ればいいだけです!俺の給料で頼めるとこまで頼んじゃって下さい!お妙さん!」
悪びれずに言う近藤に妙はなぜかイライラしていた。
「あなたバカなの?学習しないの?!」
イライラが近藤に八つ当たりの様に降り注ぐ。
それでも近藤は顔色ひとつ変えずに、また笑顔で
「バカかもしれません。でもお妙さんの夢の手伝いがこんなんでも足しになれたら、自分は本当に嬉しいっていうか…」
「すみません、なんか自己満足ですよね」
こんな事を言う。
「あなたって本当に…」
「バカですっ!!でもいいんです!!!」
妙は
違うのに。
と思った
私が言いたいのは、
あなたって本当にお人よし。
まるで
まるで父上みたい。
遮られた言葉の後に言いたかった事を自分の心の中で思う。