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□風鈴
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近藤は慌てて

「あっ…あのっっ!!」

「お妙さん…」
呼びとめる

妙が振り返り
「間に合ってますって言っ…」
言いかけた妙の前に
綺麗な薄緑色の包み紙の小さな箱が差し出される

「これ、渡しに来ただけですから…」
ちょっと泣きそうな近藤の顔にまた少し面をくらうが妙はそっと受け取った。

渡したかと思うと近藤は一礼して帰って行った。

真正面から行く事がこんなに怖いなんてどうかしてると思いながら近藤はひたすら走った。

妙の家から少し行ったところの河原の土手に腰をおろし、はあっ、と溜め息をつく。

「中も見てもらえねえかもしんねえな…」
少し自虐的に笑うと、それでも受け取ってもらえただけよしとしようと土手に寝転び空を見上げる


空に

妙の顔が見えた。

思わずガバッと起き上がる。

「おおお妙さん!?」

妙は近藤の横に立ち
「何なんですか。ちゃんと来たかと思えば何か渡して走って逃げて。」
妙もまた溜め息をつきながら言った。

近藤は妙が「何か」と言ったので、ああ…やっぱり中身は見てもらえてねえなと思いながら

「…すみませんでした」
と頭をかいた。

「…せっかくこんなところまで来たんですから」

「うちでお茶でも飲んで行って下さいな」

妙はそう言ってくるりと後ろを向き歩き出す。
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