日常的な志摩くんと私

□真剣な彼の
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Side 子猫丸


「なぁ、子猫さん」

「どないしはりました?志摩さん」


志摩さんは前をぼーっと見つめながらボクに話し掛ける。

何だかいつもと違う様子の志摩さん。

何かあったのかと不安になる。


「女の子ってええもんですなぁ…」


真面目な顔をしてそんな事を言う志摩さんに呆れつつも結局はいつも通りの彼にホッとする。



「もしかして志摩さん、好きな人でも出来はったんですか?」

「ん――…」


志摩さんはまた上の空。

ある一点を見つめほぉ、とため息を吐いている。


―――これはかなりきてますなぁ。



かなり重症な志摩さんに苦笑しながら彼の視線を辿る。



「…何で気付いてくれへんのやろか」



そんな志摩さんの言葉は空しく彼女に届くことは無い。



「早く気付いてやってください」


きっと坊もそう願ってる。


彼女の鈍さにはビックリしたが、志摩さんの思いが報われるように。



(志摩さん、なんで彼女と話しはらないんです?)
(今は見とっていたいんよ)
(えらい慎重にしてはるんですね)
(そりゃ、大好きな人やから)



――大事にしたいんよ。




【真剣な彼の気持ち】



(せっかくの休み時間、ずっと彼女の事を見てはるつもりなんですか?)
(…いややなぁ。子猫さん。……当たり前やありませんか)
(…志摩さん)
(なに子猫さんその可哀想な人を見るような目は!!)




前言撤回です。



志摩さんの気持ちに気付いてやらなくても良いです。





Next to the end.

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