New StaR
□vol.5
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今日からZE:Aのメンバーの一員か……。
大丈夫かな、私……。
そんな事を思いつつ、部屋割で決まった各部屋に入っていくメンバーを見送り私も荷物を手にテホンさんの後に続いていく。
部屋について荷物を置き、隣のベットに荷物を出し始めるテホンさんの背中をじっと見つめていると視線に気付いたのか困ったような表情でこちらを見てきた。
テホン『……;アイル…だったよね?僕の背中なんかついてる…?』
『い、いえ!!そんな事はありません!!あの………』
テホン『ん?』
『これからよろしくお願いします!!ご迷惑とかかけちゃうかと思いますが……僕、一生懸命頑張るので…!!』
私はテホンさんの顔を見れずに深々と頭を下げるも全く反応が無くて……私は不安になって顔をあげ、ちらりと覗き見ると口元に手を宛て笑いを堪えていた。
……私、変なこと言ったかな…?う〜ん…思い当たらん……。
ここは思いきって聞いてみた方がいいんだよね....?
『テホンさん、僕なんか変な事言いましたかね…?』
テホン『くくっ……いや、なんか僕らのメンバーには珍しいタイプの子が入ったなぁーって。そうだ、アイルって何歳なの?』
『僕は89年生まr……』
テホン『えっ、!?』
『!?な、なんですか…;?』
テホン『まさか……同い年…?てっきり年下かと…』
話を聞くとテホンさんは私の事をドンジュンくんと同じくらいだと思ってたらしい……
私ってそんなに幼いのかな……
若干悲しい気持ち……(ホロリ…)
同い年ということもあり、親近感が湧いたのかテホンさんは私のベットに腰掛け時間も忘れて色々な話をして盛り上がった。
各メンバーの特徴とか、誰が料理上手とか世話好きとか……
悪戯好きは誰…とか、マンネ組には気をつけないといけないとか……
少しだけ、ほんの少しだけだけどみんなの事が解った気がする。
━コンコンっ━
テホン『ん?誰だろ…?』
ひょこりと扉から顔を出したのはパジャマを身に纏い首からタオルを下げお風呂上がりなのかほんのり顔の赤いシワンさんがいた。
中に入ってくる彼からはシャンプーの優しい良い匂いが漂ってきた。
シワン『二人ともごめんね?あ、もう仲良くなった感じだね?』
『はい、おかげさまで!!シワンさんどうかしたんですか?』
シワン『お風呂。みんな順番に入り終わってあとテホンとアイルだけだから呼びに来たんだよ。』
『もうそんな時間ですか!?』
テホン『時間気にせず話してたからね』
シワン『どんだけ夢中だったの?(笑)……あ、どうせだからもっと親睦深めるためにお風呂一緒に入ったら?』
『っ、!?(いやいや、無理無理!!)』
急なシワンさんの言葉に私は一気に体の温度が上昇するのを感じた。
テホンさんは断るよね?
っという視線を向けた筈なのに聞こえてきた言葉は全くもって真逆の言葉だった。
テホン『入る?』
『え、遠慮させていただきます!!テホンさん、先にゆっくりあったまってきて下さい!!』
テホン『そ、そう……?なら先にお風呂借りるよ。シワンごゆっくり』
話し込む前になのか既にパジャマ等を用意していたテホンさんはそれを手に取り、柔らかい笑顔を向けて部屋を出て行った。
部屋に残されたのは良い匂いがするシワンさんと私。
シワンさん、………くりくりした真ん丸の瞳で見られると私、どうしたら良いか分からないんですが...
とりあえず負けじと見据える事にしよう。
シワン『…………』
『…………』
シワン『……………』
『…………;』
シワン『……アイルってさー…』
ゆっくり近付きさっきまでテホンさんが座っていた所、則ち私のすぐ隣に腰掛けるシワンさん。
緊張するんですが………;
『な、なんでしょう………?』
シワン『ほんと女の子っぽいよね〜?』
『へ?そんなこと無いですよー。僕、生まれつきこんな顔ですし……シワンさんの方が……っ!!』
シワン『俺好きだけどな〜、アイルみたいな子。でも、男だからなー残念。』
距離が縮まり私の頬にはシワンさんの細くて長い指が触れている状態。
もともと男性に免疫のない私は目の前で綺麗に微笑む彼に釘付けになっているのが分かる。
━バンッッ━
『ひぃっ…!!』
その時、急に扉が勢いよく開き
驚いた私は反射的にシワンさんに勢いよく抱き着いてしまった。
入って来た人物に視線を向けるとその先には……
グァンヒ『ちょっとー!!シワニー!!』
シワン『げっ………グァンヒ。』
扉の前には血相変えたグァンヒさん。
なんでそんな顔………
『グァンヒさん。……ってわぁ!!!シワンさんすみません!!』
シワン『うんん、大丈夫。…………アイル抱き心地もやわらかい…』
『っ…!?』
離れようとしたのにシワンさんはさらに私をきつく抱きしめてきた。
シワンさんの言葉と行動に私は一気に顔が強張ってしまった。
流石に抱き心地までは男にはなれませんー!!
社長さーん!!
グァンヒ『……!!し、シワニの浮気者ー!!うわぁ〜ん!!』
そんな状況を見て、部屋に入ってきたグァンヒさんは口元を押さえながら部屋を出て行った。
シワンさんは微動だにせず未だ私を抱きしめたまま。
と、とにかく!!
なんとかしてこの危険な状況から脱出しなければ……。
『し、シワンさん……?』
シワン『なにー』
『グァンヒさん、追いかけてあげて下さい。』
シワン『………。はぁーグァンヒはあとが面倒だからね………じゃあ、俺は行くよ。…んじゃあね』
『………。』
すんなり私から離れるとグァンヒさんの事を判りきっているのか、溜息を吐き、私の髪(かつらだね。)をくしゃくしゃしてシワンさんは去って行った。
『………かつらずれちゃうよ。』
シワンさんの残り香と顔が赤い私だけが部屋に残された。
テホン『アイル、お風呂あがったからいいよ、使って。………あれ、どうかした?』
『テホンさん……僕ってそんなに女性っぽいでしょうか………?(…まぁ、そう見られる方が個人的には嬉しいけど今は男装してるし……)』
テホン『何急に……あ、さっきのヒョンシクとかみんなが言ってたの気にしてるんだ?』
『………まぁ、…』
私に近付きじぃっと大きい瞳で見てくるテホンさん。
………あーさっきのシワンさんの時くらい気まずい。
テホンさん、良い匂いだし…
などと違うことを考えていると私の頭を軽く撫でるテホンさん。
テホン『……確かにひとつづつのパーツは女性っぽいかな。でもさ、きちんと男なんでしょ?ならさ、自信持ちなよ』
『………。』
テホン『ね?ファイティン、アイル!!』
『テホンさん……コマウォ…!!』
男装して、テホンさんを騙している事には変わりない…胸の奥がずきずきするのを感じた。
ごめんなさい、テホンさん……
メンバーの皆さん。
いつか…社長さんの許しがでてほんとの事、打ち明けられる日がくるといいな。
そしたら、私は…ほんとのZE:Aの一員になれると思うの。
今は出来ることをがんばろう。
おまけ
テホン『僕の事は呼び捨てでいいよ。同い年だし、同室だし……仲良くやってく為にはフレンドリーにならないと!!あと、敬語はいらないよ。』
『わぁ、やった!!じゃあ、テホン!!』
テホン『何?アイル。』
『えへへ〜呼んでみただけ〜』
テホン『(か、可愛い!!)』
こうして親密度が上がったのはまた別のお話。
→vol.6