story of P
□レッドの恩返し
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「な、何言ってんのさ!!オレ鶴だよ!!?てか手ぇ離して!!」
「お前が鶴だということはさっき分った。それに離すつもりもない」
レッドの顎を離さず表情を変えぬまま近づくグリーンは気付かれないようにレッドの腰に手を回す
それに気付いたレッドは小さく肩を揺らし大きく見開いた眼でグリーンを見つめる
「た、ただ助けてもらった恩返しに来ただけで・・・」
「じゃぁ、恩返し・・してくれるか??」
「何を・・・、」
「最大級の感謝ってやつだ、」
ボフッ、と音を立て子が母に抱きつくようにレッドに抱きついた
しかし、体格上傍から見ればグリーンがレッドを抱きしめているようにしか見えない
レッドもグリーンの行動をただ見るだけで抵抗といったことを全くしていない
それを確認したグリーンは抱きついた状態のまま続ける
「お前が鶴だろうと関係ない。俺はお前が好きになったんだ、
恩返ししてくれるというなら・・・俺の気持ちに応えて欲しい」
ギュウ、とオレを抱きしめる力が少し強くなった
少しばかりへんてこな事言ってるけどグリーンが本気で言ってるのが分る、でも・・・何か嬉しいけどオレ鶴だし・・・
それに、それに・・・・・
ギュッ、と強く眼を瞑ったレッドはゆっくりと息を吸い、弱弱しくだが言葉にして繋げる
「あの、ね グリーンが本気で言ってるんだってのは伝わってくるの
何か嬉しいけどまだ気持ちが整理できてないし、それに、それにオレ男だよ?」
レッドが放った言葉で嬉しい、という単語に心躍らせたがその後の発言に一瞬固まり
埋めていた顔を上げ、レッドと視線を絡めた
「・・・・・・・え、マジ?」
「マジマジ、一回も女なんて言ってない」
「・・・へぇ」
「・・・・」
これを聞いたらいくら鶴でも大丈夫なグリーンでも諦めてしまうだろうと、小さい胸の痛みに気付かないふりをした
恩返しも何もしないまま帰る事になるとは思わなかった
そう思い、最後という意味も込めてグリーンの顔に手を添えた
今オレはちゃんと笑えてるかな?
「鶴のオレを好きだって言ってくれてありがとう、あの時助けてくれてありがとう
恩返しも何も出来なくてゴメンね・・」
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