story of O

□Gの魔の手から
1ページ/2ページ






「神田ぁぁああああぁああぁ!!!」



「っな!?なんだ、鬼みてぇな顔しやがって」



「見て分からないんですか!!?さっさと何とかして下さいっ!」





鬼の形相で此方に走ってくるアレンは異常で驚いて声を上げてしまったのは仕方の無い事だろう
しかし、それどころではないと言わんばかりに必死な顔のまま神田の胸ぐらを掴み上げた

普段温厚なアレンが神田相手だとはいえ、こんなことをするなど珍しく神田を含めその場に居た人間は唖然としただただアレンを見つめていた





「あのですね、その、えっと、一度しかいわなんでよぉ〜く聞いてくださいね?

―――――助けてください



「は・・・?」



「聞き返さないで下さいよバ神田」



「・・あぁ、悪い」





胸ぐらを掴まれ至近距離で言われたのにも関らず神田には一瞬理解できなかった
だからこそ、バ神田と言われて怒鳴り散らす事も普通に相手に謝るなどという神田らしからぬ事をしたのだろう





「で、どうした?」



「どうしたも、こうしたもっ、」





フリーズしてしまった頭を元に戻そうと話を振れば神田の服を掴んでいる手の力が強くなりクシャ、と音を立てて服の皺が深まった
俯いてしまったアレンは、胸ぐらを掴んだまま呟くように、その程度の音量で喋りだした

きっと聞こえるのは近距離に居る神田くらいだろう





「アレが、アイツが迫ってくるっ、
六本の足を巧みに使い信じられない速さで近づいてきて、さらには羽根を使って空を飛び、現代の最新技術を持ってしてでも絶滅しないという生命力を持ち
かつ、1匹見つけたら30匹はいると古来から言われ続けている油でてかった体と2本の触覚がチャームポイントの名前の最初にGがつくあれがっ!!!!」





くわっ!と効果音がつきそうなほど捲し立てたアレンに詰め寄られながらも内心喜ぶ己をたしなめつつ、掴まれている手を出来るだけ優しくはずさせた





「モヤシがゴキ「それ以上言ったら殺す。Gと言え」・・・Gが嫌いなのは分かった、
が、んなモン部屋に出たならここまで怯えるこたねぇだろ」




ゴキブ・・・、Gの名を口に出そうとした時AKUMAと闘う時とはまた違う殺気で
「それ以上言ったらそのパッツンと男の大事なブツ削ぐぞ」
と訴えられているようで神田は思わず息を飲み、唾をゆっくりと飲み込んだ

それは、今だ見た事のないアレンの力を目の当りにした事と、Gという生物に対しての態度が面白く今の状況が楽しいからだ





「ずっと、ずっと追いかけてくるんです・・・奴は」





放された手はワナワナと震え、強く強く震えを消すかのように握られる
アレンの顔からは血の気が抜け元より白かった肌はさらに白く、もう青白くなってさえいる





.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ