†薄桜鬼†

□†七ノ夜†
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─九条河原─



「どうやらここの会津兵たちは、主戦力じゃなくただの予備兵らしい。主だった兵たちは蛤御門のほうを守っているそうだ」




会議から帰ってきた井上の言葉に眞那は苛立った様子で目を細めた




「俺らも予備扱いってかァ?いい度胸してんじゃねェか」




上物の刀があるのにわざわざ安値の刀を使うぐらい愚かじゃねェの




そういった眞那の目は苛立ちや憤怒を通り越し冷めていた




「……眞那。ちょっと来い」



「何だァ?」



「さっさと来い」




そんな様子を見兼ねたのか土方は眞那だけを連れて本隊から離れていった
































「どうした、てめえらしくねえ」




本隊から離れた草村で土方は眞那を見据えて問うた




「何もありゃしねェ」



「なら、なんで苛ついてる」



「………」





だんまりを決め込んでいた眞那だったがじっと見据えてくる土方に観念したように深いため息を吐き出した




「内輪の事情も然りだがよォ。所司代の奴らも会津兵もちっとばかり弛んでるんじゃねェか?」




袂から取り出したキセルを口に含み眞那は眉をしかめる




「いざ俺らが来てみりゃこのザマだろォ?なんか馬鹿馬鹿しくなっちまってよォ」




渋い顔をしている土方にそれにな、と眞那は言葉を続ける




「この間言った忍隊の奴ら、連絡つかねェんだ」



「!!!」




基本的に隊務を疎かにしない気質の眞那を隊長にもつ忍隊は連絡や報告など怠った試しがない




しかし眞那の話によるとすでに二日前から連絡が途絶えているのだそうだ




───それすなわち




「自分にも苛ついてんだァ。内部をごたごたにしてやるとか何とか言っといてよォ…結局忍隊の奴、犠牲にしちまったんだよなァ」
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