†短編†

□×雨ノチ雨×
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雨の日は嫌いだ



町の見回りも億劫になるし足元も水溜まりが出来て気持ち悪い






何より

あいつと同じ色素の薄い金色の髪が濡れるから





×雨ノチ雨×



「眞那さん!ちょっと!俺の話聞いてる?!」



ふと傍らから聞こえた平助の声に我に帰った





そうだ、今は巡察とは名ばかりで平助と散歩の途中だった



「あァ…聞いてなかった」



悪びれる様子もなく答えれば平助はいつものように苦笑する



「だからさ、その、良さそうな…簪の店、とか、知らないかな?」





顔を真っ赤にする平助に俺は首を傾げた。平助は女なんかいないし興味もなかったはずだ




そんな事を思いながら懐からキセルを取り出し口に含む。
と、平助がそんなことを聞いてくる理由を一つだけ思いついた



(…千鶴か)



新選組に居候している鬼の少女

親しくしているとは聞いていたがまさか平助が思いを寄せているとは知らなかった




「そうさなァ…」



俺は知っている限りの簪の店を平助に教え、場所なんかも詳しく教えてやった



「ありがとな!やっぱ眞那さんは頼りになるぜ!」



目をキラキラさせる平助を俺は可愛いと思いながら眩しいとも思った




ー純粋に恋する少年ー



ふと傘から顔を上げればまだ雨は降り続いていた
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