†薄桜鬼†
□†次ノ夜†
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「下手な話を聞かせちまうと、始末せざるを得なくなるだろうが」
「この子を生かしておいても、厄介なことにしかならないと思いますけどね」
ちらり、と千鶴を見る総司
「…」
千鶴の体が強張る
「とにかく殺せばいいってもんじゃねえだろ。……こいつの処分は、帰ってから決める」
「俺は副長の判断に賛成です。長く留まれば他の人間に見つかるかもしれない」
斎藤は油断なく周囲を警戒しながら静かに告げた
ふと、地面に転がる死体を見る
「こうも血に狂うとは、実務に使える代物ではありませんね」
「頭の痛ぇ話だ。まさか、ここまでひどいとはな」
土方も斎藤と同じく冷めた目で転がる死体を見つめた
ふいに土方が顔をしかめた
「つーか、おまえら。土方とか副長とか呼んでんじゃねえよ。伏せろ」
「ええー?伏せるも何も、隊服着てる時点でバレバレだと思いますけど?」
ふふっと笑う総司に千鶴は確信したような顔つきになり、何か口の中で呟く
「……死体の処分は如何様に?肉体的な異常は、特に現れていないようですが」
「羽織だけ脱がせとけ。……後は、山崎君が何とかしてくれんだろ」
「御意」
斎藤が深く頷く
「隊士が斬り殺されてるなんて、僕たちにとっても一大事ですしね」
「ま、後は俺らが黙ってりゃ、世間も勝手に納得してくれるだろうよ」
おかしそうにクスクスと笑う総司に幾分和らいだ声音で同意する土方
ふと千鶴の前に沖田が立つ
「ねぇ、ところでさ。助けてあげたのに、お礼の一つもないの?」
「……え?、そんな、助けてあげたのにって……」
困惑していた千鶴だが立ち上がると頭を下げた
「あの、ありがとうございました。お礼を言うのが遅くなってすみません。……色々あって、混乱していたもので」