†薄桜鬼†

□†碌ノ夜†
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「失礼します」



大きめのお盆に幹部全員分のお茶をのせ広間に入った千鶴は自分の目を疑った



「そうやってるとまるで小姓みたいだな」

「ありがとう、雪村君」



広間には見慣れた顔ぶれの幹部が揃っている





それはいいのだが


「おいしいよ?…ちょっと温いけど」



そういって笑う沖田はなぜ眞那にひざ枕しているのか


千鶴の疑問はその一点に尽きた



「すー、すー」




しかし当の本人はなんのその
安らかな寝息をたて眠っている



周りの幹部達も慣れているのか誰も不思議がったりしていない




うーん、と千鶴が首を捻っていると襖が開き近藤が姿を現した



「会津藩から正式な要請が下った。只今より我等新選組は総員出陣の準備を開始する!」




おお、と歓喜の声が広間に響く



嬉しそうな近藤に変わり土方は渋い表情で指示を出す


「はしゃいでる暇はねえんだ。てめえらもとっとと準備しやがれ」



長州が既に布陣を整えているせいか土方は吐き捨てるように愚痴を零した





「その心配ならいらねェ」




不意に聞こえた声に全員の視線が沖田に集まる


しかし声を発したのは沖田ではなく今まで眠っていた眞那だった




「こんなことになるだろうと思って忍隊を長州に潜り込ませといたァ…今頃中はごたごたしてるだろォよ」


クックッと笑う眞那に土方は呆れたように息をついた



「会津藩にばれたらどうすんだ。不忠にされるかもしれねえんだぞ」

「ばれなきゃいいんだろォ?」



ドスの効いた声でいなされても謝るどころか開き直る


眞那は楽しそうに笑った



「山南さんと総司と平助はお留守番組だからなァ?」



「残念ですが…」

「本調子じゃないしね」

「大したことないってば!」




平助はともかく二人は留守番をすることになり広間の空気が少しだけ和らいだ























そして次に話題になったのが千鶴が戦に参加するかどうか



平助や斎藤は参加に反対している様子はないが山南や土方はあまりよく思ってないらしい





困っている千鶴に眞那はそっと言葉をかけた




「戦に行くんだって分かってんなら、好きにすりゃァいい」





助け船というにはあまりに投げやりな眞那の言葉だったが千鶴は力強く頷く






「私、参加します」
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