†薄桜鬼†

□†八ノ夜†
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「ぎゃあああっ!」




耳障りな悲鳴を上げ倒れ込む役人を眞那は迷惑そうな目で見下し男に視線を戻した





「なんだァ?銃声一発で腰が抜けたか」




役人達は足踏みし男を遠巻きに見つめている




恐らくは銃だけでなく男から放たれる雰囲気にも気圧されているのだろう








──そんな中





「遊んでくれるのは結構だが…お前だけ飛び道具を使うのは卑怯だな」




「飛び道具が相手なら少しは楽しめそうだなァ?」







役人と男の間に立ちはだかれるようにして左之と眞那が並び眞那にいたっては千本を構えた






「はァ。卑怯じゃねえって。そっちこそ長物持ってんじゃねえか。もう一人は忍かよ?」


























睨み合っていた三人が不敵に笑みを零した瞬間




「──!」



左之の手から槍が凄まじい勢いで放たれ宙を切り裂いた



狙い済まされた一撃だったが槍は男を紙一重で掠め地面に突き刺さる




「てめえらは骨がありそうだな。にしても真正面からくるか、普通?」






呆れたような感心しているような男の言葉に二人はにやりと笑う





「小手先でごまかすなんざ、戦士としても男としても二流だろ?」


「男なら喧嘩上等!ぐらいほざいてみやがれェ」





挑発的に笑う二人に男は面白がるように口笛を吹く




「…オレは不知火匡様だ。おまえらの名乗り、聞いてやるよ」



「新選組十番組組長原田左之助」



「新選組零番組組長高杉眞那」




互いが互いを認め合った瞬間だった
緊迫した雰囲気はかわらないが交わす視線に悪意は微塵もない





が、男は眞那の名乗りを聞いて表情を変えた



「た、かす…ぎ?…」




「高杉眞那だァ。一回で覚えやがれェ」





別に覚えなくてもいいけどよォ
と笑った眞那に反して男はますます顔色を失う




「眞那…なのか?」



「はァ?名前呼ばれるほど親しくなった覚えはねえぜェ?」



呆れたように腕を組んだ眞那に男は息をのんだ
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