君がいると

"人間不信者"は"人間信者"に

でも、君が居ないと

"人間信者"は"自殺志願者"に




+++




『ねえ、思い出してよ』

『楽しかったね、ふたりで』

『ずっと、わすれないでよね』



は、


と目が覚める



心が窮屈な感じがする
手には汗を握っていた
どうも、息がしづらい


ここが現実だと確認し、息をつくと、起き上がり耳を塞ぐ
時計を見ると、午前3:50あたりを指している


ああ


…また、だ

最近の俺は、なんだかおかしい

近くにある水を一気に飲み干すと、静かにグラスを置く。

…君の声が聞こえる、夢を見るのだ。
何回も、何十回も、何度も、何度も、

夢の中で君がしきりに別れの言葉を言って、でも俺は答える事が出来ない
…なんて冷たい、夢だろう
まるで、俺を置いていくのがあたりまえ、とでも言うように
俺の答えも聞かず、俺を独りに、


…ふと、独り、と言う単語から、昔の自分がずっと独りだったことを思い出す
自分も他人も信じられなくて、暗い所で迷って、迷って、疲れ切ってしまった時、
…そうだ
君が、現れたのだ。

『綱吉君、一緒に帰ろうよ!』

にこ、と人懐こそうな笑顔で笑う君を思い出し、懐かしくなって、ふ、と笑みがこぼれた

あの頃から、俺の何かが変わっていったああ、君のお陰だ、と思う
何て、くすぐったい思い出だろうか

…そうだ、そうだった
君が笑ったから人生が変わった、なんて言ったらキザだね、と笑うだろうか
…いや、キザなんかじゃない
幸せを始めて感じたのが、君だからだ
今までも、これからも、ずっと君はその人懐こそうな笑みで、俺を安心させるのだろう、と独りで思いこむと、また、笑ってしまう

…と、不意に思い出す




…―ああ

そうだった、そういえば
君はもう、




いない、のだ



深い絶望に襲われ、身体の芯から冷たくなっていく感じがした

…ああもう、
何だか、疲れてしまった
君は今どこに居る?
どうして、いないんだ?

いきたい、いくよ
今すぐに君の所、へ



まっていて



疲れきって、目をつぶる
特別な事をしなくても、君の所へいけそうな気がした

ばさ、と布団の中に埋まり
身体の力を抜く

そのまま、息を吐いて、吸って、を繰り返す

ここは
どこだ?

真っ暗だ。
君も居ない。

汚い俗界から抜け出して
はやく、はやく、君のもとへ行きたい

すると、目を閉じたままの俺の頬に、優しく冷たい手が添えられる

…君、だ

ああ、やっぱり会えた
会いたかった
寂しかったよ

「綱吉、やめて、死なないで」

満足感に浸っていると、
優しく諭すような、でも悲しそうな声が聞こえる。

…何故?
君に会いに来たのに。

「ねえ、私はいなくなってないよ」

どうして?
…いま、君はここにいないじゃないか

「ううん、綱吉の心臓に居るの」

俺の?
心臓?

「そう、私が脈を打ってあげる」

君が?
…俺の、脈を?

「簡単には、死なせないんだから」




する、と優しく俺の頬から手が離れる
見えていないけど、きっと君はいま笑っている

俺も安心して、ふ、と笑う

俺の脈をうつ、か
君らしい、それじゃ死ぬわけにもいかないか

ああ、それなら、生きていてもいいかもしれない
君が、ここで一生懸命
『今日も生きて、今日も、明日も』って叫びながら脈をうつのなら。


…そしたら、君にはしばらく会えなくなるけど
…また、いつか、どこかで。

次に会ったときは、久々に君の笑った顔がみたいな

…じゃあね
いつまでも、俺の大好きな君



『またね、綱吉』





有心論

目を開けたら、涙が溢れた







――――――

+あとがき+

うーん、有心論と関係なく見える←
死ネタは大変だけど楽しいかも.
ちょっと好きな作品(´・ω・`)
続きでも書きたいかも
文才の無さ丸出し乙!!!!!


2010.6.8 ariko@


+感想お願いしますです.



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