ONE PIECE

□バトルの行方
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ベッドに横になり、何の変哲もない天井を見つめる。
煙草の煙はどこへ行くこともなく、ゆらゆらと漂い消えていく

ここはアラバスタ近海の海軍船
陸上での生活が長かったためか船の上は落ち着かない。
既に一本口に加えていたが、気分を紛らわそうと、煙草の箱に手を伸ばすが目当ての物は一本も残っておらず、買い足しを忘れていた自分への怒りが生まれるだけとなった。

スモーカーにとって煙草は水分に等しい
ベッドから起き上がり、椅子にかけていたジャケットを取ると、遠くから鋭い物が地面に当たる足音
スモーカーの部下に、海兵には不似合いなこの音を鳴らす靴を履く者はいない。

ただこの音を奏でる知り合いは一人いる。

音は確実に迷いなく近づく。手に持ったジャケットを元あった場所へ戻す。
もう煙草は必要ない。

思っていた通り音はスモーカーの部屋の前で止まり、続いて控えめなノック

短い返事で中に入るよう促す。

扉を開けたのは深い赤色のブラウスに、膝より上だが品を下げない程度の白のミニスカートを履いたヒナ

「今晩、いいお酒持ってきたんだけど一緒にどうかしら?」

手には上等な銘柄の酒瓶
断る理由など微塵もない。
 
テーブルにグラスが二つ、向かい合いながら椅子に座りヒナは持ってきたワインのコルク栓を抜く。昔からワインは赤と決めているらしく、今日持って来た酒も彼女の上着と同じ真っ赤なワイン

スモーカーは根っからのビール派。入隊当時は酒はビールだワインだ、と馬鹿馬鹿しい口論もしたものだが、ヒナが持ってくるワインは不思議とスモーカーの口に合った。

今ではヒナと呑む時はワインと決まっていた。
彼女の言うとおり自分は丸くなったのかもしれない。

グラスに注がれたワインを一口まろやかな口当たりだが、なかなか強い酒だ。
 
ただ酒を呑むとどうしても口寂しさが蘇ってしまう。

「煙草持ってねェか?切らしてんだよ。」

「珍しいわね。命より大事な煙草を忘れるなんて、ヒナ驚愕」

女は優雅にグラスを回し真っ赤なワインを眺めている。

驚いている奴の反応じゃない。状況を楽しんで焦らしている顔

「あるのか、ねェのかどっちだ。」

「あるわ。だけどスモーカー君のお気に入りは持ってなくてよ。」

この際だ葉巻でなくてもいい
口に入れ煙草を味わえるなら

よこせと催促すると、ヒナは自分の豊かな谷間に手を入れ、束ねられた数本の煙草を取り出す。



 
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