ONE PIECE
□ジェントルマンにはご注意を
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滑らかなピンクのロングヘアーを揺らす少女
棒付きキャンディを頬張り、スキップをする姿は微笑ましく、すれ違う者はその少女の首に多額な賞金がかけられているなど夢にも思わない。
「この姿は楽だな。」
闘う必要も隠れる必要もない。
おまけにキャンディまで貰える何十人分の料理を平らげ腹八分目だが、ボニーのブラックホールはまだ満足の域に達していない。
食い物を探し辺りに目を凝らすと、子どもが群がるアイスクリームの出店
カラフルな二段アイスを頬張る少年
その笑顔はどんな宣伝より効果があった。
ボニーはキャンディを噛み潰すと駆け足で出店へ向かった。
「おっちゃんオススメのやつ乗るだけ乗っけてくれ。」
その台詞に周囲の子どもがざわつく
「はいよ。」
店主は手際よくアイスを一つ、また一つと乗せていく
チョコレート、キャラメル、オレンジ、ストロベリーそして最上階に特大のバニラ
驚異の五段アイスに子ども達の羨望の眼差しが集める。
「900ジェニーだよ。」
財布を取り出し小銭入れを覗き込むと見事に空っぽ。
お札入れを見るが同様だ。
「…あれ?」
財布をひっくり返しブンブンと振ってみるが、やっぱり何も落ちてこない。
「お金持ってないんだ。」
「あーあ、かわいそー」
羨望から一転、一段アイスの子どもが笑う。
「うるせー、どっか行けチビ助ども!」