小話
□木の葉を隠すなら森の中
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冷静になって中を覗きこむと、これでもかとタイガー達がひしめいている。
誰かに配ろうか
そんなことを考え視線を袋におとしたまま歩いていると、突然肩が何かとぶつかり、衝撃で袋の中身を床にぶちまけてしまう。
「ごめんよ。」
反射的な謝罪が飛んできて、振り返るとぶつかっただろう男の背はずいぶん遠い。
「…まあ、いっか」
落とし物を見られずに済んだのだからよしとする。
床に視線をやればまたずいぶんと散らばってくれたものだ。
「よう、ブルーローズ」
背後からした声に身体がビクリと跳ねる。
タイガーだ、声だけではっきりと確信できてしまう。
カードを本人に見られたら弁明の余地がない。
「タイガー、どうしたの?何か用?」
カードを隠すように立ちはだかる。
どうしてこうもタイミングが悪い時に来てくれるのかと、一方的な感情を抱きながらもどうか気付かないでと祈った。
「用ってほどでもねぇけど、何か落ちてるぞ。」
身体を傾け落ちた物を確認しようとするとタイガーに、同じく身体を傾けて隠すがそれも限界だ。
「…俺のカード?」
耳が痛い
あと心臓も
「あの、これはつまり…」
「そうか、お前…」
ヤバいバレた