小説
□1時限目「入学式p」
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Pipipipi♪Pipipipi♪Pipipi…カチッ。
機械的に手を伸ばし、目覚まし時計を止める。
「ん…ふぅ…ん――…ッ」
目を開けて視界に飛び込んできたモノは、見慣れた天井。
ゆっくりと身体をひねって横を見ると、やはり見慣れた緑色のカーテンの隙間から、まばゆいばかりの朝日が注ぎ込んでいる。
すっかり春の陽気にあたためられた布団は、ぬくぬくと温かく眠気を誘い、まだ覚めきっていない頭では、コレを手放すといった選択は到底出来そうにない。
(あと5分……)
そんなお決まりのセリフを心の中で唱えると、再び春の香りのする布団の中へと顔をうずめる。
その時だった。
―――ダダダダダ、バタンッ!!!
階段を一気に駆け上がる足音がしたかと思うと、間髪入れずに部屋の扉が開かれた。
「あすか〜ッ!!…おまっ、まだ寝てたのかよ?!遅刻すんぞ!!」
これまた聞き慣れた…聞き飽きた声が頭の中に響く。
「…ん…もう少し…。」