知弦甘甘ver

□Sweet X'mas
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知弦side

今日は12月25日。

窓の外には、真っ白な雪が降り注ぐ。

そう、今日はクリスマス。

そして、初めてキー君が私の家に来ることになっている。

私は実家にいるため両親と暮らしているのだが、今日は2人とも仕事で明日まで帰って来ないらしい。

というのも、母が仕組んだのだけれど。

とりあえず、今日はキー君と2人きりで過ごせるという訳だ。


ーーーピンポーン



時計が約束の時間を差した時、インターフォンが鳴った。

・・・きっと、彼ね。

「はーい」

玄関の扉を開けると、そこには雪に濡れたキー君が居た。

「こんにちは、知弦さん!」

「こんにちは・・・って、キー君凄く寒かったでしょう?早く中に入って」

「は、はい!お邪魔します・・・」

少し緊張しながら入るキー君。

まずはリビングに通す。

「あったかい・・・」

「キー君、コート預かるわ」

「あ、はい。ありがとうございます」

「そこのソファに座ってて」

私はキー君のコートをハンガーにかけた後、温かいミルクティーを運んだ。

「はい、どうぞ」

「ありがとうございます」

キー君の隣に座る。

「どう?少しは温まった?」

「あ、はい。おかげさまで」

「それにしても、迷わずよく来れたわね」

「もちろん、愛の力です!」

「初めてよね、うちに来るの」

「はい。なんかドキドキします」

「ふふ、何よそれ。前にも言ったけど、両親は明日まで帰って来ないから。泊まっていく?」

すると、キー君が蒸せそうになる。

「と、とま、泊まるって!いやいや、ダメですよっ!」

「どうして?私は平気よ?」

「知弦さんは平気でも、俺が平気じゃないです!」

慌てるキー君が可笑しくて、つい笑みが零れる。

最近、キー君に攻められてばかりで見失っていたけど、もともとこういう関係だったのよね。

「笑わないで下さいっ!」

「いえ、あまりにも必死に言うものだから、つい」

「当たり前です・・・あ、そうだ。知弦さんにプレゼントがあるんです」

そういうと、キー君は大きい紙袋を差し出した。

「随分大きいわね・・・開けてもいい?」

「はい」

開けてみると、もこもこの羊の抱き枕が姿を表した。


「・・・可愛い・・・」

一目見ただけで心を打ち抜かれて、つい口から思った言葉を発してしまった。

そして、音もなくぎゅーっとそれに顔を埋める。

と、我に返ってキー君の顔を見てみると、なんだかにやにやしていた。

「知弦さん、気に入ってくれました?」

「・・・気に入ったんだけれど・・・何よ、その顔は」

「いえ、ただ、知弦さんの方が可愛いと思っただけですよ」

「っ・・・こ、これ、ありがとう、大事にするわね」

恥じらいを隠すように、慌ててミルクティーを口に含む。

そう、最近はこういう風にキー君に攻められることが多くて。

・・・でも、それが何だか嫌じゃなくて。

むしろ、心地よいような。

キー君と居るときだけ、肩の力が抜けて自分の感情を素直に表せられる。

「私も、プレゼントとは言わないかもしれないけれど、チョコレートケーキを焼いてみたの」

「本当ですか!?」

「ええ、今ちょっと取ってくるから。待っててね」

そう言って、朝に作って冷やして置いたケーキを冷蔵庫から取り出す。

「うわぁ!すごく美味しそうです!」

「ふふ、私も、まだ味見してないからおいしいかどうかは分からないけど」

切り分けたケーキをお皿の上に乗せる。

「いただきます!」

「はい、どうぞ」

キー君がフォークに刺して、一口食べる。

「ん・・・うん、最高に美味しいですっ!」

食べるスピードを速めていき、ペロッとケーキを食べ終えた。

「そんなに美味しかった?」

「はい、もう、最高でした!もう一個いいですか?」

「ええ、もちろん」

そう言って、今度は私のお皿にも取り分けて一緒に食べた。
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