知弦甘甘ver
□告白〜知弦ver〜
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*知弦side
いつからだろう。
彼が、キー君のことが、こんなにも好きになったのは。
放課後。
生徒会室の扉を、いつものように開く。
ガラッ
「あ、知弦さん!」
「あら、キー君。早いわね」
そこにはいつもの席に座っているキー君の姿があった。
机には、なにやら大量の書類が積み重なっている。
「キー君、雑務を今やってるの?」
「はい。みんなが来てないうちに、少しでも
量を減らそうと思ってたんですが。・・・それより知弦さん、会長はどうしたんですか?」
「ああ、アカちゃんなら補習よ。この間の定期テストでまた赤点取っちゃったの」
私はキー君の対面のいつもの席に座りながら答える。
「キー君こそ、深夏はどうしたの?」
「今日は深夏のお母さんの誕生日みたいで、真冬ちゃんと一緒にプレゼントを買ったり、ケーキを作ったりするそうで、先に帰りました」
「へぇ・・・」
と、いうことは・・・
私がその続きを言おうとした時、キー君が勢いよく立ち上がった。
「と、いうことは、知弦さんと2人っきりということですねっ!!」
「その通りだけど・・・キー君?」
なぜそんなにテンションが上がっているかは、大体想像がつくけれど。
でもこれは、私にとってもチャンスだわ。
・・・今日、打ち明けるしかない。
「知弦さんとエロエロなことしほーだいじゃないですかぁ!」
「私がキー君にS行為し放題の間違いじゃないかしら?」
「嫌ですよっ!!」
いけない、また言ってしまった。
素直になれずに、いつものようにS発言で本当の気持ちを隠してしまう。
別に本気でS行為なんてしたい訳じゃないし、本当はキー君にそういうことをされても別にいいと思えてきた。
私の中の、ただの性的欲求かもしれない。
キー君と居たい、触れたい。
そう思うことは、変なのかしら?
・・・いいえ、これがきっと「好き」って気持ちなのね。
この気持ちを、今日伝えなきゃね。
「知弦さんがいるんで、雑務はまた後でします」と言いながら、キー君が生徒会室の隅の棚に書類を運んでいる。
私は立ち上がり、運び終えたキー君に近づく。
「ねえ、キー君」
「何ですか、知弦さん?」
私は顔をグッと近づけた。
「ち、知弦さん・・・?」
「好き」
耳元に唇を一瞬だけ寄せ、小さく呟いた。
ずっと、ずっと。
言いたかった言葉。
普段冗談とかで言っているよりも、もっと。
深い、意味のある。