知弦甘甘ver
□帰り道
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*知弦side
放課後、いつもキー君は私を家まで送ってくれる。
私の家は学校から近いため、いつも徒歩だ。
キー君の家は遠いため、キー君は自転車通学をしている。
今は歩く私に合わせて片手で自転車を押している。
「ねえ、キー君」
「何ですか?」
「手を繋いでもいいかしら?」
「もちろんです」
私はキー君の手を取り、指を絡ませた。
「そういえば、前に握手ならしたことあるけど、こうして手を繋ぐのは初めてよね」
「そうですね。あの時は本気で緊張しましたけど、今の方がもっと緊張しちゃいます」
「そんな、ただ手を繋いでるだけよ?」
「そ、そうですよねぇ、これからもっともっとあんなことやこんなことをするというのに、これぐらいで照れてはいけませんよね!」
「キー君て、無駄に前向きよね・・・」
・・・ほんと、お調子者なんだから。
「キー君の手、あったかいわね」
「知弦さんの手もあったかいですよ」
そう言ってお互い微笑み合う。
「あ、そういえば知弦さん」
「何、キー君?」
「恋人になったんですけど、呼び方ってこのままでいいんでしょうか?」
「私は、キー君て呼ぶの結構気に入ってるんだけれど。私のことは、呼び捨てでもいいわよ?」
「いえ。俺も知弦さんのままでいいです」
「そう。・・・そうね、その方が私たちらしいわ」