知弦微甘ver


□イケナイコト
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知弦side


今日は体育祭の振替休日。

・・・が、終わって普通に学校がある火曜日。

いつものように生徒会室では会議という名だけの駄弁りを繰り広げている。

「・・・だから、生徒会はこの機会に、世界進出するべきなのよっ!」

アカちゃんのいつもの無茶な熱弁が続く中、私はいつもどおり本に目を通していた。

いや、単に今は目を上げたくないだけなのだ。

「会長ー、その話前にもしてましたよー?」

平常心、平常心。

「うるさいわよ、杉崎!会長の言うことは絶対なんだから、口はさむの禁止っ!!」

「おいおい、会長さん。体育祭で全力出し切って、あたしらは疲れてるんだよー・・・」

「いつも元気有り余ってる深夏がそんなこと言わないの!」

「ちょっ・・・どういう意味だよ、そりゃ・・・あたしだって疲れるときくらいあるってーの」

そっと目を上げてみる。

「!」

キー君とばっちり目が合ってしまった。

私は直ぐ様、何事もなかったかのように読書に戻る。

「・・・ねぇ、すっごく言いづらいんだけど・・・杉崎と知弦、けんかでもしたの?」

!?

「え、いや・・・・」

キー君が口ごもる。

「あー・・・会長さんもそう思ってたか」

「ま、真冬も・・・杉崎先輩と紅葉先輩の雰囲気が、なんだかいつもと違うなぁって・・・」

そう・・・これ、喧嘩に見えてたのね・・・

確かに・・・アカちゃん達から見たら、そう見えるかも知れないけれど。

「あ、いえいえ!喧嘩はしてませんよ!」

「じゃあ・・・なに、このびみょーな雰囲気は?」

私はようやく本から目を上げてアカちゃんの方を見る。

一瞬でもキー君の方を見てしまわないように気を付けながら。

「そ、そんなことより会議続けなくていいの?世界進出するんでしょう?」

・・・と、そこで横槍を入れてきたのはまさかのキー君だった。


「知弦さん!!」


「へ!?あ・・・は、はい?」

「俺達、喧嘩してるわけじゃないですよねぇ?むしろ超アツアツですよねぇ!」

い、いきなり何よ!?

「え・・・ま、まあそうね。うん・・・そう」

言ってるそばから頬が沸騰したように熱くなっていくのが分かった。

不意に大声で呼ばれて彼を見てしまったせいだ。

「うわぁ・・・知弦、顔真っ赤だよ?」

「・・・っ」

うく・・・

もう、今すぐこの部屋から出て行きたい・・・
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