♂♀長編
□弐
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道中、金の髪が目立つ女が居た。
あれは…あの時の。
「!不動殿」
「お前…遊女の宮、つったっけ」
「はい。…今日は不動殿にお頼みがありまして。聞いて戴けますか」
「聞くだけならな」
フゥ、と息を吐いて宮は
「風鈴姐さんのことです」
ピク、と不動の表情が動く。
宮があまりにも真剣で深刻な顔をしていたため。
「……なんだよ」
「姐さんには、円堂殿という恋人が居ました」
━━『いました』?
過去形…?
「どういう事だよ…」
不動は疑問を投げかける。
宮は語り始めた。
「彼女が…、姐さんの昔のことでした」
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