♀長編

□1日め
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「悪かったな」

綱海がニッとまぶしい笑顔を向ける。
向けた相手は少し虚ろな瞳だった。

「何がだよ?」


風丸は薄く笑いながら彼に視線を移す。

「謝るのはオレの方だろ。お前を吹っ飛ばしたんだから」

「まぁな〜!…って違う違う!お前にあんなキツイ事言っちまって。女の子だとは知らずによ」


頬をポリポリ掻きながら綱海は言う。

風丸は小さく呟く。

「女扱いしないでくれ。オレはそれも、嫌なんだ。すまないな…」



DE戦が無事に和解、という形で幕を閉じた。
もうほとんどがDEだったなど気にせずにキャラバンメンバーと和気藹藹しているというのに、彼女は違った。

まだ何処か、辛そうだった。


綱海はそれに気づいたのだ。


まだ風丸の心には闇がある。
彼女は円堂に呼ばれ、そっちへと足を運んだ。




可哀想にな。

そうやって強がることしかしねぇ
違うな、そういう環境にしかいれなかったんだろうな。

……女の子なのにな。




綱海は悲しそうに彼女を見る。


円堂や豪炎寺達は素直に風丸が戻ってきて喜んでいた。
彼女に恋心を抱いているのだ。
それで、風丸の微かに違う状態には気づかないでいるのだ。



綱海は円堂達の風丸に対する気持ちは気付かないものの、彼女の気持ちは分かって居た。


海で鍛えた第6感━━、というとこどろう。




「風丸ってよう、ああいうやつなのか?」

綱海が鬼道に話かける。

「ああ。大人しい、というか穏やかな奴だな。円堂の幼馴染だそうで奴の保護者みたいな感じだな」

フッ、と鬼道は笑う。
荷を解いたように。

「へぇ〜」

「でも…なんか前より感じ違くないか?」

塔子が2人の会話に割って入る。

「そうか?」

鬼道が答える。


綱海はおっ、と反応する。


「なんか…今にも泣きそうな顔してるよな」

「うーん。言われてみれば…」



綱海は「おっしゃああ!」と声を張り上げた。


鬼道や塔子だけではなく、メンバー全員が突然の行動に驚く。



綱海は風丸に近づいて手をグッ!と引く。


「な、なんだよ綱海」

おののく風丸を他所に彼は爽やかに笑いながら、口を開く。


「海に…沖縄に行くぞ!」


一瞬の沈黙が流れる。
次の瞬間には疑問に変わる。

「「「えええ?」」」



それでも綱海は笑っていた。












『にーにと暮らす7日間』








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