♀長編

□4日め
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4日目・土曜日(晴)





青い空、白い雲。
また、青い海。



1人少女が砂浜に立って、浅瀬の海を眺めていた。

透き通る海水には自分の顔が映る。


少女は何処か思い詰めたような表情をしていた。






オレが沖縄に着てから4日が経った。最初はすっごく嫌だったけど、今は楽しい!

にーには
気軽に意外と話せる。

でも、まだ………。


円堂、皆。
オレが戻ってきたら…。



また仲間って言ってくれるか?















「風丸ー!」

堤防で海パン姿の綱海が呼ぶ。


「はーいっっ」

風丸がてこてこ、彼の方へと走り寄る。


いつものポニーテールに、白い肌が露出する。

上半身にパーカーを羽織って居るが、その中には水着を着ている。
綱海が友達の家の商品である水着とマグロと交換してきたらしい。



「見ろ、見ろ!海!ほら、珊瑚!初めて見るだろ!」

クイッ、と身体を地面に張り付けて堤防から首を下ろす。


「うああああ……」


何色か、とも言い難い自然の美しさの珊瑚。

色とりどりに鮮やかで、それ等は風丸の瞳を奪う。



「にーに…綺麗だね、珊瑚」


ヘヘン!と綱海が胸を張る。
そして、再び口を開く。

「まだ、まだだぜ!オレが見せたいのはこれよりもーっと綺麗なんだからな!」


視線を綱海に移し、きょとんとした顔で彼女は見つめた。


「え、何?」

「…教えねーよ、まだ!最後のお楽しみだ!」


「へぇ〜…ケチッ」

「ハハハッ!おっ、太陽出てきたな〜。海入るか?」




ボチャン!


水飛沫が綱海の顔にかかる。
先程まで隣で寝っ転がって居た風丸の姿は何処にも無い。

キョロキョロ周囲を見渡すが風丸の姿は見えない。




やがて、声がした。

「あはは!こっち」


砂浜の、浅瀬の方に彼女は居た。白いパーカーを砂の上に脱ぎ捨てて。


「お前っ、速っ!」

「へっへ〜。速く、にーに遊ぼうよっ」

「おっ!わーったよ!」




━━良かった。
コイツは確実に回復していってる。
もう、大丈夫。




綱海は優しく微笑んで彼女を見つめた。

妹か、いや。

とにかく大切な者を想うような瞳で。











サーフィンをしたり
海水浴をしたり。

宝物のようにキラキラ輝く時間は魔法のように過ぎていく。






クスクス…
アハハハッ━━━。

笑い声は遠く、響く。

浜に道に家に。





何よりも
深い深い深い深い深い━━━
深海にも。













『お前はオレから逃げられない』

『待ってるよ』

『オレ』




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