♀長編

□変化
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風丸一加(♀)。

中学2年・陸上部所属
特技:競走
趣味:ランニング等
性格:穏やか
悩み:性別


外見は中性的で男子からも女子からも『綺麗』としか言われない恵まれた容姿。

内面も穏やかで話し掛けられたら笑顔で対応するし、頭も良い。

クラスの男子は彼女にチヤホヤするため、女子に仲良しは居なかった。


しかし彼女は気になどしては居なかった。




━━薄っぺらな友情なんて。

オレには円堂が居るし。
幼なじみで、親友。













彼女はお昼を食べるために屋上へと階段を昇る。

そして扉に手をかける。


ガチャ。


「円堂ー、悪い遅れた…」



━━!!

あれは…円堂のクラスの転校生……と、円堂…。


「あ、風丸!」

円堂が彼女の存在に気が付くと手をブンブン振る。

風丸はハハ、と苦笑すると円堂と話して居たらしい転校生も彼女の方へ目を向ける。


「……!」

「あ…はじめまして、だな」

ニコリ、と風丸が笑うと転校生は一瞬顔を赤らめたが、急いで屋上から降りて行った。

「無愛想な奴だな…円堂、友達になったのか?」

「いや〜…。サッカー部に誘ったんだけどさ、断られちった。あいつ、凄いエースストライカーなんだぜ!」


目をキラキラさせて
円堂はガッツポーズを決める。

「まぁ、諦めないけどな!」


「クスッ。円堂らしいよ」


「まずは帝国に勝たなきゃなぁ。負けたら廃部なんだよな」

「!」



は、廃部?
そうなったらもう円堂がサッカー出来ないじゃないか!

…それに。


「フットボールフロンティア…」

「そーそー。オレの夢だからさ、帝国には絶対勝つ!」



円堂はそう言って笑う。

しかし筒抜けだった。
風丸にはそれが辛さを兼ね備えた笑みだということは。



「…後何人足りないんだ?」

「えー、と。部員が7人だからあと…4人だな」

「そっか…」

「せめてさぁ、帝国戦だけ助っ人が入ってくれればな」


直後、風丸の目が光ったのは言うまでも無い。
但し、それは蝋燭の火のように危なげな物だったが。



「助っ人か……」


さあ飯食おうぜ!、なんて円堂が叫ぶものだから風丸は呆れて小さく笑った。

















円堂、

オレお前に恩返し、したいんだ。
だから………。









その夜、風丸は家で長い髪を頭上で1つに纏めていた。


クローゼットには雷門の『男子制服』が掛かっている。

身体も女子特有の膨らみは見えない。
工夫を凝らし、隠して居るのだろう。




「(意外とポニーテールって、オレ似合うな)」


クスッと笑い、
鏡を真っ直ぐ見た。





まるで男のようにに見える、自分を。








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