学パロ♀♂

□風丸さんの大騒動
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「あれぇ……?」

風丸さん、遅いな。
どうかしたのかなぁ。

駅で宮坂が周囲を見渡す。

とりあえず、電話してみようかな。
携帯を取り出し、電話をかけた。


プルルッ


「あ、風丸さんどうか……」

『只今この電話番号は使われておりません……』





「えー?」


携帯壊しちゃったのかな?
とりあえず、迎えに行ってみよう。


疑問に思い宮坂は電車には乗らず、足を走らせた。















「悪かった!豪炎寺」

サッカー部部室では土下座する霧隠が居た。


周囲に居た者は呆気に取られた。
この前はあれ程怒って居たというのに。

それは豪炎寺も一緒だった。


「ど、どうしたいきなり」


顔を上げて霧隠は鼻の下を擦りながらヘヘ、と笑う。

「いやぁ〜。ちょっと感情的になりすぎたっていうか…ともかく、悪い!」


なんて喜怒哀楽━━、感情の変化が激しいヤツなんだと豪炎寺は思ったが、彼もまた

「いや、詳しく説明しなかったオレも悪かった」


「いやぁ!やっぱり殺伐とした中でのサッカーは良くないよなぁ!立派だぞー!」

綱海の言う通りだ、と佐久間も思い、彼女も豪炎寺と円堂に謝る。


サッカー部に平穏が戻った。

ちなみに全員がこのケンカの事を知っていた。
基山が教えたのだ。
誰かが無闇に触れてこれ以上の沙汰になったら大変だから。


円堂は笑いながら
「やっぱサッカーは楽しくやりたいよな!さぁ、大会は明後日だ!頑張ろうぜ!」
と言った。

皆がグラウンドに向かっている中、豪炎寺、不動、鬼道は表情の暗さを隠せなかった。


それは円堂も同じだったが。
彼は元気に見える。
だが常に傷ついている。
好きな人を突き放すこと。

それがどんなに辛いか、円堂はどれだけ苦悩しているかを3人は理解していた。


かく言う豪炎寺もあれから風丸と連絡をとれなかった。
怖かったのだ。
大切なものが減っていくことが。



グラウンドでアップを終え、サッカーボールに触れようとした時であった。











「円堂!!!」

1人の少年が円堂を呼ぶ。
ゼェゼェ息を切らしながら。


その少年はよく風丸の近くに居る陸上部の後輩、宮坂だった。

顔馴染みになっていた霧隠がどうしたんだ?、と尋ねると宮坂はかつてない剣幕で円堂に寄った。





「今日、陸上部部活あるよな?さっき練習してたぞ」

「そういや…風丸見てないな」

源田と佐久間が小声で話しているのを聞いて不動は凍りついた。





「風丸さんは何処だ!?朝、家に迎えに行ったら誰も居ないんだよ!家も何もかも無いんだよ!!」



「嘘だろ……まさか、…!?」

豪炎寺はよろめいて、地に足をつけた。

不動と鬼道は呆然とした。

「5日後じゃ…無かったのか」

「準備がまだ整ってねぇよ…!まさか、オレ達がかぎ回ってるのを知って予定を早めたんじゃ…!!」



宮坂は事情を知っている3人を横目で一瞥し、

「さあ、僕の問いに答えて下さい!!」

円堂に問いた。




円堂もあっさり全てを話した。


風丸が居なくなった理由。自分が風丸を突き放した理由。
全てを。



全員が驚き、怒り、泣きわめく中、円堂の真剣な顔を見て真実なのだと実感した。
皆は青ざめていた。







しかし1人だけ、
円堂は今までとは異なっていた。
彼は思いきったように久々に清々しい顔付きをしていた。









今年の夏休みは、赤点より大変なことになってしまった。

けれど赤点より取り返しのつかない事態なのだ。







助けなければ。


オレ達の『仲間』を!!











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