短編小説

□正装
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「とーっても似合ってますよ、風丸センパイ!」

音無が褒め称えた人物は
機嫌がすこぶる悪い。


ムスッとした顔の風丸には正装のドレスが着飾っていた。


今日はイギリス代表に
パーティーへ招待されたのだ。



普段とは違い、下ろした空色の長く、艶やかな髪。

そして細身の体にあうようなピッタリした型の白系のドレス。




そんなきらびやかな格好をしている自分を風丸は情けなかった。

「こんな格好で日本代表選手なんて…恥ずい!」

「まぁまぁ、さ、皆に見せに行こう!」

嫌がる風丸を木野と音無がズリズリと引きずり、男性陣のいる方へ向かった。





「みんなー!お待たせ」

木野が発した言葉に
皆が振り向いた。


「おぉ!皆可愛いな」

「かっ、風丸………」


風丸のドレス姿に動揺したのは発言した豪炎寺だけではない。

何しろ、普段はジャージと色気の無い格好ばかりしている風丸がスカート、しかもドレスを着用しているのだから。


「見るなよ!!」

完全不機嫌の風丸が牙を向くも男性陣は容赦なく話をかけまくった。


「おぉー。やっぱり女の子って感じだな!」
と綱海。

「綺麗だね」
とヒロト。

「全然、こっちのがいいんじゃねぇか」
と染岡。

他にも皆が褒める。

不機嫌な風丸でも、段々と恥ずかしくなってきたのか顔が赤くなってきた。


そのうち照れ隠しに寒い、と言って豪炎寺のジャケットを奪ってパーティー会場へ向かった。










会場につき、各々自由にしている。

選手と話し込む者も居れば食事に夢中な者もいる。


イナズマジャパンの紅一点は立食パーティーだというのに座り込んでいた。



イギリス関係者達が
幻想的な彼女に振り向き、声を掛けられまくるためだ。



「そこのお嬢さん」

ま、またか……

「何故座り込んでいるのです?…私と踊ってくださいませんか」


━━踊る?
ああ、ダンスパーティーって言ってたっけ。

「すいません、お…私あそこのメンバーです」

イナズマジャパン達が居る方向を指して言った。


何か閃いたように彼は

「あぁ!貴女はジャパンのマネージャーの方でしたか。こんな美しい方に支えられているなんて彼等は幸せ者だ」


なっ……!

恥ずかしい事を散々述べられた挙げ句、マネージャーだって!?


「私は選手です!!」


カッとなって叫ぶと
彼は驚いたと思ったら、クスクスと笑い、

「貴女が日本代表だって?…日本人は面白いジョークを言いますね」


「…もう、いいですっ」

本当のことを信じてもらえないのは腹がたつ。
風丸はふてくされていた。



円堂が様子を見ていたのか駆け寄ってきて、

「彼女に近付かないで下さい。…大事な、選手なんですから」


「え、円堂…!」

手をグイッと引かれ、
自然と手を繋いでいた。


イギリス人の少年は
含み笑いをして、

「それはそれは。日本人はこんな美しい女性を選手にするほどサッカーが乏しいのですね。…先程は失礼。私はエドガー。よろしく、風丸さん」

直後にエドガーは風丸の手にキスをした。



「なっ………!?」

真っ赤になった風丸と
怒りを露にする円堂。

…いや、イナズマジャパン一同。










皆は1つになった。



「エドガー、ぶったおす!」





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こういうシーン、
あってもいいよね?

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